ダサチニブ使用成績調査の2年追跡(全例調査中間報告)の結果、主な副作用は血小板減少などの血液毒性と胸水で、副作用の多くは投与後8週目までに発現するが、体液貯留はそれ以降も注意する必要があることが示された。また細胞遺伝学的効果は、長期の治療継続により累積的な効果が期待できることも示唆された。10月14日から16日まで名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で、東京大学医学部附属病院血液・腫瘍内科の南谷泰仁氏が発表した。

 ダサチニブは2009年1月に日本でも承認され、2011年6月には初発の慢性骨髄性白血病にも承認された。今回の調査の目的は、市販後使用実態下における未知の副作用、副作用の発生状況、安全性または有効性に影響を与えると考えられる要因の調査である。

 重点調査項目として設定されたのは、骨髄抑制/血球減少、出血、体液貯留、心臓血管系事象および心電図異常、肝胆道系障害、間質性肺炎だった。

 全例調査の中間報告では、2010年6月27日のカットオフ日までに838人、2011年6月27日のカットオフ日までには893人が登録された。このうちフィラデルフィア染色体陽性急性骨髄性白血病(Ph+AML)の2人とAMLの1人を除いた890人では、慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)372人、移行期慢性骨髄性白血病(CML-AP)80人、急性転化期の慢性骨髄性白血病(CML-BC)131人、フィラデルフィア染色体陽性急性リンパ性白血病(Ph+ALL)307人だった。
 
 PS 0の割合はCML-CPでは75.8%を占めたが、進行またはPh+のCMLでは減少した。また前治療のイマチニブの最大用量は、進行またはPh+のCMLで増加した。

 患者の10%以上に発現した副作用(全グレード)は、2010年のカットオフ日からの1年間に微増していた。2011年のカットオフ日でみると、血小板減少(45.5%)などの骨髄抑制の他、グレード3以上の胸水が2.7%、グレード2以下の胸水が23.0%に発現していた。

 重点調査項目の発現状況(全グレード)は、2011年のカットオフ日でみると、骨髄抑制/血球減少56.0%、出血9.8%、体液貯留が35.0%、心臓血管系事象および心電図異常が4.1%、肝・胆道系の障害が20.2%、間質性肺疾患が3.4%だった。
 
 このうち出血はグレード3以上が5.4%、グレード2以下も4.4%だったため、詳細に検討された。出血の副作用は87人に発現し、重篤と判定されたのは55人(6.2%)、59件だった。女性、高齢者、CML-CP以外の疾患、PS 0以外で多い傾向がみられた。また出血は、発現日±3日間の血小板値が2.5万/mm3未満の患者で多かったが、10万/mm3を超える患者でも認められた。
 
 副作用発現までの期間をみると、多くは4週目、または8週目までに発現していたが、体液貯留は8週を超えても一定の割合で発現し、後期に至るまで注意が必要と考えられた。

 投与継続状況をみると、48.4%は治療を継続していた。中止の内訳は、有害事象21.1%、無効11.6%、死亡7.7%、移植3.6%などの割合だった。原疾患別では、CML-CPで投与継続の割合が70.0%と高かったが、有害事象の発現に大きな差はなかった。ただし、無効や死亡の症例はCML-CP以外の疾患で多かった。

 細胞遺伝学的効果は、長期の治療継続により累積的な効果が期待できることも示唆された。CML-CPの細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)率と細胞遺伝学的部分寛解(PCyR)率は、投与後3カ月まででは57.2%と22.1%だったが、6〜12カ月では66.5%と18.1%となった。

 南谷氏は「市販後全例調査の情報を随時報告していくことは、薬剤の適正使用推進に有用な手段であると考える」と話した。