慢性特発性血小板減少性紫斑病ITP)に対するエルトロンボパグ投与は、約6割に有効で、プレドニゾロンの減量が可能となり、非有効例でも出血傾向の改善などが見られることが明らかとなった。10月14日から名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で、岐阜赤十字病院血液内科の澤田道夫氏が発表した。

 慢性ITPの第一選択薬はステロイドあるいは免疫グロブリン静注療法で、有効率は70〜90%だが、効果持続率は13〜50%と高くなく、再発や難治例が数多く存在する。ステロイド抵抗性例に対する二次治療はアザチオプリン、シクロスポリン、リツキシマブがあるが、有効性や副作用、コストなどで不十分で、かつ国内では保険適応がない。

 2010年にトロンボポエチン受容体作動薬であるエルトロンボパグが承認され、ステロイド抵抗性ITPの治療選択肢となった。そこで同グループはエルトロンボパグによって治療したITPについて、有効性、安全性などを検討した。

 解析対象は、他の治療に抵抗性または忍容性に問題があり出血リスクが高い慢性ITP患者。エルトロンボパグを1日12.5mgより開始し、血小板数が5万/mm3未満であれば増量、血小板数が5万〜20万/mm3であれば維持、血小板数が20万/mm3以上となった場合は減量することとした。増減量は12.5mg/日ずつとし、1日50mgを最大量とした。

 評価項目は奏効率で、血小板数が5万/μL以上に回復した症例の割合とし、そのほかにITP治療効果判定基準、出血症状の改善、併用ITP治療薬の減量・中止の割合を調べた。奏効率は、血小板数10万/μL以上が7日間超間隔で2回続き、出血傾向がない場合をCRとし、血小板数3万/μL以上が7日間超間隔で2回続き、出血傾向がない場合をR、血小板数が3万/μL未満(1日間超間隔で2回)で出血傾向がある場合をNRとした。

 対象患者は16例で、うち女性は12例、年齢中央値は73.5歳(30〜87歳)、罹病期間は137カ月(4〜228カ月)。治療歴は、脾臓摘出が2例、前治療を2つ受けているのは6例、3つ以上受けていたのは10例だった。血小板数の中央値は7500/μL(1000〜2万6000)だった。

 解析の結果、血小板数5万/μL以上となった患者の割合としての奏効率は62.5%で、CR率は56.3%だった。出血割合は18.8%で、登録時に行っていた治療を減らせたのは56.3%だった。エルトロンボパグ投与期間は6カ月(3〜9カ月)だった。

 エルトロンボパグで効果が得られた10例のうち、12.5mg投与だったのは7例、25mg投与だったのは3例で、いずれも血小板数5万/μL以上を維持していた。

 血小板数が5万/μL以上にならず効果が得られなかったと判断された6例のうち、25mg投与されたのは4例、50mg投与されたのは2例で、25mg投与例のうち2例は血小板数 3万/μL以上に増加していた。

 有害事象は、疲労感(グレード1)が1例、頭痛(グレード1)が1例、肝機能障害(グレード1)が1例で、中止例はなく、いずれも保存的治療で改善した。

 これらの結果から、慢性ITPに対するエルトロンボパグ投与は、62.5%で血小板数5万/μL以上となり有効で、有効例では投薬を維持することで血小板数を維持できたこと、ほとんどの症例でプレドニゾロンを減量することが可能だったとした。また、非有効例であっても出血傾向の改善、5万/μL以下ながら血小板数の増加が見られた症例も多かったとした。

 東アジア人ではエルトロンボパグのAUCがその他に比べて1.87倍高く、少量からの投与を薦められているが、今回の検討でも有効例は12.5〜25mgと欧米よりも少量で有効であったと締めくくった。