経口PNP阻害剤であるforodesineは、日本人の再発・難治性T/NK細胞リンパ腫患者において安全に投与できることが、フェーズ1試験で明らかになった。名古屋市で10月14日から開催された日本血液学会学術集会で、名古屋医療センター臨床研究センターの永井宏和氏が発表した。

 T/NK細胞リンパ腫は、B細胞リンパ腫に比べて、通常の化学療法に対して難治性のため、新規薬剤が求められていた。

 Forodesineは、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)に対する阻害剤で、ヌクレオシド類似体の構造をもつ。PNPは、ヌクレオチド合成経路の1つであるプリンのサルベージ経路に関与する酵素で、リンパ球の増殖に必須である。このためPNP阻害剤はT細胞の増殖を選択的に抑制すると考えられ、T細胞白血病リンパ腫に対する治療効果が期待されている。

 またforodesineはその他のヌクレオシド類似体(フルダラビン、クロファラビン、ネララビンなど)とは異なる作用機序で、安全性プロファイルも違うと考えられている。

 フェーズ1試験は多施設共同オープンラベル増量試験として、3+3デザインで行われた。Forodesineは1日1回朝食後、3つのコホートで、それぞれ100mg、200mg、300mgが投与された。主要評価項目は安全性プロファイルと忍容性、および薬物動態(PK)。副次評価項目は有効性と薬力学(PD)とし、PDではPNPが阻害されると濃度が上昇する2'-デオキシグアノシン(dGuo)の血漿中濃度が評価された。

 対象は、1レジメン以上の治療歴のある再発・難治性T/NK細胞リンパ腫患者で、T細胞急性リンパ性白血病(T-ALL)とT細胞リンパ芽球性リンパ腫(T-LBL)は除外した。

 用量制限毒性(DLT)は、投与開始から28日以内に発生し治療薬の関与が疑われる以下の場合と定義した。グレード3以上の非血液毒性(未治療の悪心、嘔吐、下痢は除く)が見られた場合、骨髄に腫瘍細胞が25%以下の患者および皮膚T細胞リンパ腫(CTCL)患者ではグレード4の好中球減少や血小板減少が見られた場合、骨髄に腫瘍細胞が25%超の患者では7日以上続くグレード4の好中球減少や血小板減少が見られた場合とした。
 
 100mg群には5人、200mg群には3人、300mgには5人の計13人が登録された。13人のうち、末梢性T細胞リンパ腫-非特定型(PTCL-NOS)が6人、未分化大細胞型リンパ腫(ALCL)ALK陰性が3人、CTCLが2人、原発性皮膚未分化大細胞リンパ腫 (C-ALCL) が2人だった。

 投与の結果、DLTは見られず、すべての有害事象で忍容性が認められた。また増量による有害事象の発現もなかった。治療関連の主な有害事象は、リンパ球減少(92%)、便秘(38%)、貧血(31%)、白血球減少(31%)、皮疹(31%)。グレード3以上の有害事象はリンパ球減少(62%)、貧血(15%)、白血球減少(8%)だった。

 治療効果は13人中3人(23%)に見られた。100mg群ではALCLの1人で完全奏効が認められ、無増悪期間は930日を超えた。200mg群ではCTCLの2人で部分奏効が認められ、無増悪期間は1人は169日、別の1人は113人だった。

 日本人患者のPKとPDは、米国や欧州の試験結果と大きな違いはなかった。

 永井氏は「この試験はCTCL以外のT/NK細胞リンパ腫患者でforodesineの効果を示した最初の試験である」と述べた。このデータに基づき、再発・難治性PTCL患者を対象としたforodesineのフェーズ1/2試験を計画している。