多発性骨髄腫に対して、レナリドミドは長期間の維持療法が可能で、再発・難治性患者に対しては早期に使うことで、長期の病勢コントロールが期待できることが、単施設での治療成績で示された。名古屋市で10月14日から開催された第73回日本血液学会学術集会で、広島大学病院血液内科の坂井晃氏が発表した。

 レナリドミドによる治療効果を検討するため、導入療法および自己造血幹細胞移植 (ASCT)後にレナリドミドを投与した患者(8人)と、再発・難治性患者(27人)に分けて分析した。レナリドミドの初回用量は5-25mgで、その後、患者の腎機能や忍容性に合わせて調節した。

 導入療法およびASCT後の投与患者8人で、男性4人、女性4人、年齢中央値は61.5歳(46-81歳)。前治療はBD療法(ボルテゾミブ、デキサメタゾン)もしくはMPV療法(メルファラン、プレドニゾロン、ボルテゾミブ併用療法)が5人、ASCTは3人だった。

 すべての患者で維持療法が継続でき、半数が10サイクルを越えていた。このためASCT後の維持療法にレナリドミドは適しており、「移植非適応患者では、BD療法やMPV療法で良好な寛解を得た後、末梢神経障害が出る前にレナリドミドを早期に使うことが有効」としている。

 再発・難治性患者27人では、男性12人、女性15人、年齢中央値は73歳(47-84歳)。レナリドミドの効果判定が可能だった24人のうち、部分奏効(PR)以上が19人で、奏効率は79.2%だった。19人のうち13人は治療を6サイクル以上継続できた。

 病勢安定(SD)は12.5%(3人)、病勢進行(PD)は8.3%(2人)だった。効果が得られなかった患者では、17番染色体短腕欠失(del 17p)などの高悪性度染色体異常や高度腎障害、髄外腫瘤などが認められた。

 前治療による治療反応性の違いをみたところ、サリドマイドの治療歴がある4人では、レナリドミドの効果は不良だった。これについて坂井氏は、「治療経験が長い患者が多かったことが原因ではないか」と話した。

 一方、前治療がMPV療法もしくはMP療法(メルファラン、プレドニゾロン)で治療回数が少ない患者では、レナリドミドの効果は良好だった。

 またレナリドミドの投与開始後、2-3サイクル投与までは多くの患者で効果が見られるが、その後、効果が見られる患者と見られない患者にわかれたという。

 特に発症からの期間別では、発症後2年以内の患者では2-3サイクル投与後も効果は維持されたが、2年以上6年未満および6年以上の患者では2-3サイクル投与後は効果が消失するケースがあった。

 これらの結果から、「レナリドミドは導入療法およびASCT後の治療において、長期間の維持療法を可能にする有用な薬剤であり、再発・難治性患者に対してはより早期に使うことで、長期の病勢コントロールが可能となる」と述べた。

 また併用したデキサメタゾンについて、1サイクル目の用量は、導入療法およびASCT後の投与患者では平均84mg、再発・難治性患者では平均172.2mgだった。「デキサメタゾンは大量投与が良いわけではなく、病状が安定していれば減量を考える」と述べた。