初発の慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)に対するニロチニブとイマチニブの有効性を評価するフェーズ3の国際共同試験(ENESTnd試験)において、24カ月時の日本人の部分集団解析でも、ニロチニブ300mgまたは400mgを1日2回投与する群はイマチニブ400mgを1日1回投与する群と比較して、優れた分子遺伝学的効果を示すことがわかった。10月14日から16日まで名古屋市で開催された第73回日本血液学会学術集会で、千葉大学医学部附属病院血液内科の中世古知昭氏がAMS107/2303スタディーグループを代表して発表した。

 ENESTnd試験の主要評価項目は12カ月時点の分子遺伝学的寛解(MMR)率で、ニロチニブ300mgを1日2回投与する群(以下、ニロチニブ300mg BID群)、ニロチニブ400mgを1日2回投与する群(ニロチニブ400mg BID群)、イマチニブ400mgを1日1回投与する群(イマチニブ群)を比較した。登録された846人中、日本人被験者は79人だった。

 中世古氏らは、日本人におけるニロチニブの有効性と安全性を評価するため、日本人被験者79人の24カ月時の部分集団解析を行った。対象数が少ないため、統計学的検出力を考慮し、検定は行われていない。今回の報告の観察期間中央値は27カ月だった。

 日本人被験者は、ニロチニブ300mg BID群30人、ニロチニブ400mg BID群24人、イマチニブ群25人だった。実際に投与を受けたのはそれぞれ29人、22人、24人で、有効性評価対象は79人、安全性評価対象は75人となった。投与中止となったのは各群4人で、ニロチニブ400mg BID群には、CMLとは無関係の死亡1人、進行1人が含まれた。3群の年齢中央値、性別、Sokalリスクスコアに大きな差はなかった。

 ニロチニブ300mg BID群、ニロチニブ400mg BID群、イマチニブ群の平均1日投与量の中央値はそれぞれ585.5mg、751.9mg、399.0mgで、平均1日投与量を計算された1日投与量で割った相対用量強度は、それぞれ0.98、0.94、1.00となった。投与量に関し、全被験者と日本人被験者に大きな差はみられなかった。

 同試験の全被験者の24カ月時点でのMMR率は、ニロチニブ300mgBID群、ニロチニブ400mg BID群、イマチニブ群でそれぞれ62%、59%、37%だった。日本人被験者では73.3%、62.5%、40.0%で、やや高い傾向がみられた。

 日本人被験者の24カ月時点の累積MMR率は、ニロチニブ300mgBID群80.0%、 ニロチニブ400mg BID群70.8%、 イマチニブ群40.0%となり、12カ月時点での差が維持されていた。

 分子遺伝学的完全寛解(CMR)では、24カ月時点の累積CMR4率はそれぞれ50.0%、41.7%、28.0%、24カ月時点の累積CMR4.5(≦0.0032%)率は、それぞれ36.7%、25.0%、12.0%だった。CMR4.5達成までの期間は、ニロチニブの2群はイマチニブ群よりも約12カ月短かった。
 
 18カ月時点のsuboptimal responseは、イマチニブ群と比較してニロチニブの2群で低かった。また治療不成功となったのはそれぞれ0%、4.2%、12.0%で、ニロチニブの2群では1人のみだった。
 
 血液毒性の発現率は、ニロチニブの2群はイマチニブ群よりもやや低い傾向にあったが、発疹や頭痛、血中ビリルビン増加、ALT増加はニロチニブの2群でやや高い傾向にあった。イマチニブ群でみられた浮腫や結膜出血は、ニロチニブの2群ではほとんど発現しなかった。

 絶対値が450msecを超えるQT延長は、ニロチニブ300mg BID群で3人、ニロチニブ400mg BID群で2人に認められ、イマチニブ群では発現しなかった。しかし、投与前と比較した変化量が60msecを超えるケースはなかった。
 
 12カ月以降の観察において、ニロチニブ投与に伴う安全性上の新たな概念は認められず、中世古氏は、「今回の解析結果により、24カ月間の観察においてもニロチニブの日本人のCML-CPに対する初回治療の有用性が示唆された」と話した。


[訂正]10/17に以下の訂正をしました。
・発表者の中世古氏の名前を間違えて掲載していました。正しくは「中世古知昭」氏です。
お詫びして訂正いたします。