日本人の再発性または難治性の骨髄腫患者を対象としたフェーズ1/2試験から、ボルテゾミブ、ドキソルビシン、中等量(intermediate-dose)のデキサメタゾンを併用するiPAD療法は実行可能で、有効であることが示された。10月14日から16日まで名古屋市で開催されている第73回日本血液学会学術集会で、福岡大学病院腫瘍・血液・感染症内科の高松泰氏が、九州血液疾患治療研究会(K-HOT)を代表して発表した。
 
 ボルテゾミブと細胞傷害性薬剤の併用は、日本では安全性が検証されておらず、使用することができなかった。
 
 そこで高松氏らは、日本人の再発性または難治性の骨髄腫患者を対象として、iPAD療法を検討するフェーズ1/2試験を実施した。
 
 フェーズ1試験では、iPAD療法は21日を1サイクルとし、6サイクル繰り返すこととした。ボルテゾミブの最大耐用量(MTD)は最初の2サイクルで検討した。コホート1(6人)ではボルテゾミブ1.0mg/m2を、コホート2(5人)では1.3mg/m2を、それぞれ1、4、8、11日目に静注した。ドキソルビシンは9mg/m2を1〜4日目に静注し、デキサメタゾンは20mgを1〜2日目、4〜5日目、8〜9日目、11〜12日目に内服で投与した。
 
 用量制限毒性(DLT)は、グレード4の血液毒性が5日を超えて持続する場合、またはグレード3以上の非血液毒性(嘔気、嘔吐、口内炎を除く)がみられる場合とした。
 
 その結果、コホート1ではDLTは2人のみに認められ、忍容可能であることが示された。コホート2ではDLTは3人に認められ、忍容不能であった。したがって、iPAD療法におけるボルテゾミブの推奨量は1.0mg/m2となった。
 
 フェーズ2試験では、27人(年齢中央値63歳、男性13人)がフェーズ1の推奨用量で投与を受けた。主要評価項目は、完全寛解(CR)とほぼ完全寛解(nCR)を合わせた完全寛解率だった。
 
 27人中、前治療でファーストライン、セカンドライン、サードラインの化学療法を受けたのは、それぞれ13人、8人、6人だった。16人は自己幹細胞移植(ASCT)を受け、6人はサリドマイドの投与を受けていた。
 
 結果として、CRは6人、nCRは2人で得られ、完全寛解率は30%となった。完全寛解(CR)と部分寛解(PR)を合わせた全寛解率は89%に上った。
 
 iPAD療法を2サイクル施行後にCRまたはnCRとなった患者は3人(37.5%)、4サイクル施行後では7人(87.5%)だった。
 
 無増悪生存期間(PFS)の中央値は12.3カ月となった。全生存期間(OS)は中央値に未到達である。
 
 これらの結果は、ボルテゾミブのフェーズ2試験、SUMMIT試験を上回るものだった。

 血液毒性では、グレード3、4の好中球減少はそれぞれ6人(22%)と5人(19%)、血小板減少は10人(37%)と8人(30%)に発現したが、いずれも一過性で管理可能だった。
 
 非血液毒性では、1人が肺炎で死亡したが、好中球減少に関連するものではなかった。多くみられたのは感覚性ニューロパチーで、グレード3は6人(22%)、全グレードは21人(78%)に発現し、高松氏は「今後、さらに用量の調整について検討する必要がある」と話した。グレード3または4の低ナトリウム血症は3人(11%)に発現した。