初発の慢性期慢性骨髄性白血病(CML-CP)の日本人患者において、ニロチニブは優れた治療効果が期待できる安全な治療選択肢であることが、フェーズ3の国際共同試験(ENESTnd試験)の部分集団解析から明らかになった。第72回日本血液学会学術集会で、大阪大学大学院医学系研究科血液・腫瘍内科の柴山浩彦氏が、AMN107/2303スタディーグループを代表して発表した。

 ニロチニブは強力かつ選択的なBCR-ABL阻害剤。CML-CP患者に対する初回治療薬として、ニロチニブはイマチニブより優れ、安全性はイマチニブと同様に良好であることが、846人が参加したENESTnd試験で示されている。

 柴山氏らは、日本人におけるニロチニブの有効性と安全性を評価するため、ENESTnd試験に登録した日本人患者79人について、部分集団解析を行った。

 日本人患者は、ニロチニブ300mgを1日2回投与する群に30人(男性63.3%、年齢中央値52歳)、同400mgを1日2回投与する群に24人(同70.8%、47歳)、イマチニブ400mgを1日1回投与する群に25人(76.0%、54歳)が割付けられた。

 Sokalリスクは、試験の全対象では「Low」「Intermediate」「High」の占める割合が約1/3ずつに分散したが、日本人患者では3群とも「Low」が50%以上を占め、「High」は10%前後で少なかった。

 今回の解析の観察期間の中央値は15カ月だった。有効性評価対象は79人、安全性評価対象は治験薬を1回以上投与した75人とした。

 主要評価項目である12カ月時点の分子遺伝学的寛解(MMR)率は、2つのニロチニブ群がイマチニブ群を上回った。日本人患者のMMR率は、ニロチニブ300mgを1日2回投与する群で56.7%、同400mgを1日2回投与する群で50.0%、イマチニブ400mgを1日1回投与する群で24.0%だった。累積MMR率も2つのニロチニブ群で早期に高くなった。

 試験の全対象の12カ月時点のMMR率はそれぞれ44.3%、42.7%、22.3%で、日本人患者でやや高い結果となった。

 12カ月までの細胞遺伝学的完全寛解(CCyR)率も、2つのニロチニブ群がややイマチニブ群を上回った。日本人患者のCCyR率はそれぞれ76.7%、83.3%、76.0%で、試験の全対象のCCyR率は、80.1%、77.9%、65.0%だった。

 日本人患者における移行期(AP)または急性期(BC)への進行は、ニロチニブを投与した群では認められず、イマチニブ群の1人で認められた。

 ニロチニブの安全性プロファイルは、試験の全対象と比べて日本人患者に大きな違いはみられなかった。

 全グレードの発疹や頭痛はニロチニブ群、悪心や下痢、顔面浮腫はイマチニブ群で多く出現した。ニロチニブ400mgを1日2回投与した群の4.5%(1人)に、グレード3または4の発疹、悪心、嘔吐、便秘が出現したが、投与は継続可能だった。

 グレード3または4の好中球減少はイマチニブ群で37.5%に出現したが、ニロチニブ300mgを1日2回投与した群では10.3%、400mgを1日2回投与した群では4.5%だった。一方、グレード3または4のALT高値は、ニロチニブ400mgを1日2回投与した群で36.4%に出現したが、イマチニブ群では出現しなかった。

 グレード3または4の高血糖は、ニロチニブ300mgを1日2回投与した群で10.3%に出現した。

 また450msecを超えるQT延長が2つのニロチニブ群で認められたが、投与は継続可能であった。