大腸癌肝転移に対する全身化学療法施行後のラジオ波焼灼療法RFA)は、肝切除と比べて侵襲が少なく、化学療法を休止する期間をほとんど必要としないことから、大腸癌肝転移に対する治療戦略の一つとして有用であることが示唆された。7月13日から15日にかけて名古屋市で開催された第66回日本消化器外科学会総会で、市立吹田市民病院外科の大和田善之氏が発表した。

 同院では、大腸癌肝転移の治療として、肝切除を前提に全身化学療法を先行し、新しい肝病変や肝外病変の出現の有無を2、3カ月後に確認し、可能であれば局所治療を行っている。ただし、オキサリプラチンやイリノテカンは薬剤性肝障害をきたすことが報告されており、全身化学療法前後の肝切除の安全性は未知数と考えられる。

 切除可能な肝転移に対する治療の第一選択は肝切除であるが、全身状態が不良な患者や手術に同意が得られない患者では、RFAが治療選択肢となりうる。

 大和田氏らは、同時性・異時性大腸癌肝転移に対し、全身化学療法を施行後にRFAを施行した症例の安全性と有用性を検討した。

 対象は、同院で2006年1月から2011年4月までに大腸癌肝転移に対しRFAを施行した14人(21病変)。年齢は50〜82歳、男性9人だった。初回手術後のステージは、II、IIIa、IIIb、IVがそれぞれ3、1、5、5人だった。肝転移は異時性10人、同時性4人で、単発9人、多発5人だった。肝転移の大きさは中央値で15mmだった。

 RFAの前治療として14人中13人に全身化学療法が行われ、このうちオキサリプラチンベースのレジメンは4人、イリノテカンベースのレジメンは7人に行われた。効果は、完全奏効(CR)1人、部分奏効(PR)6人で、安定状態(SD)は3人だった。

 RFA施行後、局所再発が14人中4人に認められたが、このうち1人は再RFAによりCRが得られ、1人は肝切除が可能となった。再発は、転移病変の最大径が20mm以上の9病巣では3病巣に、20mm未満の12病巣では1病巣に認めた。無再発観察期間の中央値は330日だった。合併症として、肝膿瘍を1人に認めた。

 14人中3人は、RFA施行後23〜39日で全身化学療法を再開した。再開後に副作用で治療を離脱した患者はいない。この3人のRFA施行前の化学療法では、イリノテカン、IRIS、FOLFOXが使用され、RFA施行後はS-1またはFOLFOXが使用された。

 同院のRFAの適応は、全身状態が不良な患者や肝切除の同意が得られなかった患者で、長径2cm以下、3個以内の肝転移巣である。経皮的なRFAが困難な解剖学的部位の肝転移巣に対しては、腹腔鏡補助下のRFAを考慮している。

 大和田氏は、腹腔鏡補助下のRFAを行った1例を紹介した。患者は70代の女性で、大腸癌術後、肝臓のS5に転移を認めたが、全身化学療法や肝切除を強く拒否した。病変が結腸と胆嚢に近く、通常のRFAでは多臓器の熱損傷の可能性があるため、全身麻酔下で腹腔鏡補助下のRFAが施行された。同氏らはこのようなRFAで安全に病変部を焼灼するため、肝臓と他臓器の間に腹腔鏡下臓器圧排用スポンジ(エンドラクターType J)を挿入し、熱損傷を予防するなどの工夫を行っている。