ステージ2-3食道癌には術前化学療法が標準治療となっているが、ステージ3食道癌に対しては、5-FUとシスプラチン(FP)による術前化学療法に放射線療法を併用したほうが有害事象は多いもののリンパ節転移が消失するなど、腫瘍制御効果は高いことが、プロスペクティブな検討で明らかになった。7月13日から15日に名古屋市で開催された第66回日本消化器外科学会総会で、秋田大学医学部附属病院食道外科の本山悟氏らが発表した。

 JCOG9907試験によって、ステージ2-3の食道扁平上皮癌患者に対するFPの術前化学療法の有効性が明らかになったが、サブグループ解析でステージ3食道癌では術前FPの術後FPに対する優位性は示されなかった。このため、ステージ3食道癌の治療成績向上には、術前化学療法をFPからドセタキセル+シスプラチン+5-FU(DCF)などへと強化すること、あるいは術前化学療法に放射線療法を併用することが検討されている。

 そこで本山氏らは、臨床病期ステージ3食道癌患者を対象に、FPによる術前化学療法+手術(CT群、8人)と術前化学放射線療法+手術(CRT群、11人)を比較した。なお食道周囲臓器に浸潤するT4になる可能性がある患者には、術前化学放射線療法+手術が勧められた。投与はJCOG9907試験と同様に行い、CRT群には40Gyを照射した。

 CT群ではT2が1人、T3が7人で、CRT群は全例がT3、腫瘍径はそれぞれ約62mm、71mmとCRT群のほうが大きく、CTによる最大径(縦×横)もCRT群で大きかった。全例にリンパ節転移(N)があり、N個数の平均はそれぞれ2.0個、2.3個だった。

 化学療法の治療完遂率はCT群が50%、CRT群が64%であり、CT群では4人がFP 1コースで腫瘍増大のため治療を中止し、CRT群ではFP 1コースで有害事象により4人が中止した。有害事象はCT群ではグレード3が1人だが、CRT群ではグレード4が1人、グレード3が4人、グレード2が6人だった。またCT群では肺炎が1人、CRT群の1人では出血性胃潰瘍と腎機能障害が認められた。

 治療効果を比べると、主病巣の縮小がCT群は4人、CRT群は11人で見られ、FDG-PETによるSUV減少率はそれぞれ45%、70%だった。組織学的効果はCT群でグレード0が3人、グレード1aが2人、グレード1bが1人だったが、CRT群ではグレード1bが6人、グレード2が4人、グレード3が1人であった。またリンパ節転移が消失した患者(pN0)がそれぞれ2人、5人(45%)で、ダウンステージが3人(37%)、7人(64%)であった。
 
 術後合併症は、CT群では肺炎が1人、CRT群は4人、縫合不全が0人、2人、反回神経麻痺が2人、6人、術後在院日数は24日、32日だが、有意差はなかった。

 観察期間およそ18カ月で、再発はCT群では6人(75%)、CRT群は2人(18%)、癌死がそれぞれ3人、1人だった。

 これらの結果から、「症例数は少ないが、ステージ3食道癌に対する術前FP化学療法は治療効果が十分でない可能性がある。術前化学放射線療法は有害事象の発生頻度は高いが、腫瘍制御効果は高い」とした。

 また同研究グループでは、臨床病期2B-3食道扁平上皮癌を対象に、術前化学療法と術前化学放射線療法を比較する無作為化臨床試験も2009年から実施している。