切除不能胃癌に対し、S-1ドセタキセルあるいはS-1とシスプラチンによる化学療法を行った後、手術を行うほうが、化学療法単独よりも生存が改善することがレトロスペクティブな解析で示された。第66回日本消化器外科学会総会で、岐阜大学医学部腫瘍外科の山口和也氏らが発表した。

 対象は、2004年から2011年4月までに化学療法が開始されたステージ4の切除不能胃癌 91人。化学療法として、S-1とシスプラチンあるいはS-1とドセタキセルが投与された。また化学療法後に胃切除が行われたのは34人だった。

 切除例34人のうち、深達度 SSまでが2人、SEが29人、SIが3人、リンパ節転移(N)なしが5人、N1-2が18人、N3が9人、腹膜播種は20人、肝転移が6人、組織型では分化型が11人、未分化型が23人だった。

 抗腫瘍効果は、全例では完全奏効(CR)が2人、部分奏効(PR)が27人、病勢安定(SD)が45人。切除例ではCRが2人、PRが13人、SDが19人だった。

 切除例34人と非切除例57人の全生存期間中央値(MST)を比較したところ、切除例のMSTは30カ月であるのに対し、化学療法のみの非切除例は11カ月(p<0.0001)だった。SD以上の74人でも、切除例のMSTは30カ月だが、非切除例は11.3カ月(p<0.0001)。PR以上の患者に限っても、同様に切除例のほうがMSTは優れていた。さらに切除例のうちR0手術の19人のMSTは41.8カ月、R1-2手術の15人では15.5カ月だった(p=0.0236)。

 無増悪生存期間(PFS)は、切除例では15.4カ月、非切除例は4.5カ月で、切除を行った患者は化学療法のみの患者よりも有意にPFSは延長した(p<0.0001)。また2次治療以降の治療が行われた患者は切除例では96.3%だが、非切除例では75.4%であり、PFS後の生存期間も切除例のほうが非切除例に比べて有意に長かった。

 術後合併症の発生は34人中7人(20.5%)だった。

 山口氏らは、前治療のないステージ4胃癌患者を対象にした前向きコホート調査、ならびにステージ4に対する手術の安全性を評価するためのフェーズ2試験(PerSeUS-GC01)を今年1月に開始。主要評価項目は術後合併症発生割合、副次評価項目は全生存期間、PFS、組織学的奏効度、切除率、奏効度とした。登録数40人を目標に患者の集積を進めている。さらにステージ4胃癌の予後改善には、「一次治療奏効例に対し、化学療法のみと化学療法+アジュバント手術を比較するフェーズ3試験の実施が必要だろう」とも述べた。