直腸癌に対し、カペシタビンや5-FUによる化学放射線療法は安全に施行でき、臨床効果も病理学的効果も優れ、肛門温存が困難な患者では肛門温存を可能にすることが確認された。第66回日本消化器外科学会総会で、亀田総合病院腫瘍内科の小山隆文氏と外科の三毛牧夫氏、加納宣康氏らが発表した。

 対象は、2006年12月から2011年7月までの直腸癌患者45人。肛門温存が困難な局所進行性直腸癌患者35人には術前療法を行い、手術断端陽性または断端近接の患者10人には術後療法を行った。年齢中央値は65歳(36〜81歳)、観察期間中央値は19カ月(3〜63カ月)。

 放射線療法は原発巣と所属リンパ節に対し、1.8Gy/日を週に5日または6日(照射総量50.4Gy)行った。化学療法はカペシタビンを1650mg/m2/日または5-FUを225mg/m2/日 投与した。手術は、術前化学放射線療法後、6〜8週間に施行した。小山氏によれば、8〜10週では線維化が強くなる可能性が高いために、6〜8週に実施しているという。

 化学療法をフルドーズで投与できたのは45人中39人(87%)、減量した患者は4人、中止が2人だった。放射線療法を完遂したのは44人(98%)だった。

 術前療法を行った35人のうち、肛門温存が困難と判断された患者(T2N0M0、T3N0M0)は10人、切除困難な患者(T3N1M0、T4N0M0、T4N1M0、T4N2M0)は23人、転移性癌(T3N0M1)が2人だった。

 臨床効果は、35人のうち病勢安定が23人(66%)、部分奏効が12人(34%)。病理学的効果は、グレード3(完全奏効)が4人(13%)、グレード2(かなり有効)が11人(33%)、グレード1b(中等度の効果)が7人(22%)、グレード1a(軽度の効果)が6人(19%)だった。
 
 肛門温存は23人(66%)で実施できた。内訳は、肛門温存が困難な患者10人中8人(80%)、切除困難な患者23人中14人(61%)で温存が可能になった。完全切除(R0切除)は29人(83%)で、肛門温存が困難な患者では全例(100%)、切除困難な患者では17人(74%)で行われた。

 29人(82%)では術後合併症もなく、「化学放射線療法は周術期合併症を増加させなかった」と小山氏。また30人(85%)で再発が見られなかったが、局所再発が1人、肺転移が1人、肝転移が2人、肝肺転移が1人だった。全生存期間中央値は47カ月であった。

 主な血液毒性は好中球減少、血小板低下、白血球減少、高ビリルビンで、グレード3の好中球減少は2.2%に見られた。主な非血液毒性は、直腸炎、下痢、悪心、食欲低下、全身倦怠感、手足症候群で、グレード3の直腸炎が1人、下痢が2人だった。このため「年齢中央値65歳と比較的高齢者でも安全に施行できることが示された」とした。