除不能食道癌に対し、化学放射線療法ペプチドワクチン併用療法は安全に施行でき、完全奏効(CR)が持続する例もあることが、フェーズ1試験で明らかになった。帝京大学外科の飯沼久恵氏らが、7月14日から16日まで下関市で開催された日本消化器外科学会で発表した。

 切除不能食道癌の治療には化学放射線療法が行われているが、放射線療法は樹状細胞などの免疫応答を惹起して、抗腫瘍免疫を増強することが報告されている。化学放射線療法による食道癌のCR率は高いが、CRが持続する例は少ない。そこで、飯沼氏らは、東京大学医科学研究所との共同研究で、免疫療法と化学放射線療法併用のフェーズ1試験を実施した。

 対象はHLA-A*24 陽性の切除不能食道扁平上皮癌患者9人で、ステージ2が3人、ステージ3が3人、ステージ4が3人。化学放射線療法として60Gy を照射し、5-FU (400mg/m2/日) とシスプラチン (40mg/m2/日) を投与した。またURLC10とTTK、KOC1、VEGFR1、VEGFR2に対するペプチドワクチン(0.5mg、1mg、3mg)を腋下リンパ節近傍皮下に週1回を計8回投与した。

 この結果、重篤な副作用は全く認められなかった。

 原発部における臨床効果はCRが5人、SDが1人、PDが3人で、リンパ節を含む総合効果としてはCRが4人、SDが2人、PDが3人だった。またCR例に2週に1回ペプチドワクチンのみを継続投与したところ、2例で長期にわたりCRが維持された(18カ月、25カ月)。

 また、末梢血のペプチド特異的細胞障害性T細胞(CTL)反応を測定した結果、解析した6人全例にペプチドに対するCTLの誘導が認められた。これらのことから、飯沼氏は「ペプチドワクチンが再発予防に寄与している可能性があり、アジュバント療法として期待をしている」と語った。