腹膜播種を有する大腸癌の予後因子は、肝転移の有無や原発巣の組織型、遠隔転移の根治度、術後化学療法であり、腹膜切除だけではなく、腹膜播種を含む遠隔転移切除を行うことで予後が改善する可能性が示された。神奈川県立がんセンター消化器外科の塩澤学氏らが、7月14日から16日まで下関市で開催された日本消化器外科学会で発表した。

 塩澤氏らは、腹膜切除の意義を明らかにするため、1982年から2005年までに大腸癌手術を施行し、腹膜播種が認められた患者81人を対象に、腹膜播種症例の予後因子を調べた。

 腹膜播種に対する根治切除は、P1では33人中18人(54.5%)、P2は24人中10人(41.7%)、P3は24人中4人(16.7%)に行われていた。

 単変量解析では、組織型(高中分化/その他)、肝転移(あり/なし)、腹膜および肝転移以外の遠隔転移(あり/なし)、腹腔洗浄細胞診(陰性/陽性)、腹膜播種の肉眼的根治(根治/非根治)、遠隔転移の肉眼的根治度(根治度B/C)、術後化学療法(施行/非施行)が予後因子として抽出された。

 しかし多変量解析では、組織型(高中分化度に対するその他の分化度のオッズ比が2.650、p=0.002)、肝転移(肝転移なしに対する肝転移ありのオッズ比が3.511、p=0.000)、遠隔転移の肉眼的根治度(根治度Bに対するCのオッズ比が0.5219、p=0.000)、術後化学療法(施行に対する非施行のオッズ比が7.500、p=0.000)が、独立した予後因子であることが示された。

 このため、「腹膜播種症例では、腹膜切除だけではなく、肝転移の有無や原発巣の組織型を考慮して、腹膜播種を含む遠隔転移切除を行うことで予後の改善が得られる可能性がある」とした。