胃体上部の限局癌において、腹部食道が温存できる場合の再建法として、手技の複雑な空腸間置術よりも食道残胃吻合術が優れていることが示された。東京女子医科大学第2外科の瀬下明良氏が、7月14日から16日まで下関市で開催された日本消化器外科学会で報告した。

 対象は、噴門側胃切除を行った55人で、食道残胃吻合術が40人、空腸間置術が15人だった。平均手術時間は、食道残胃吻合術が172分、空腸間置術が242分。平均出血量は食道残胃吻合術が210mL、空腸間置術442mL。術後入院期間中央値は食道残胃吻合術が16日、空腸間置術が26日で、いずれも食道残胃吻合術で良好な結果が得られた。

 退院後の症状については、食道残胃吻合術では胸焼けが7人(18%)と最も多く、次いで、つまり感、狭窄がそれぞれ3人(8%)だった。空腸間置術では、つまり感が3人(20%)と最も多く、腸閉塞2人(13%)と続いた。

 食道残胃吻合術を詳しくみると、腹部食道を切除していた初期の患者6人が含まれていた。このうち、逆流症状によってプロトンポンプ阻害薬を服用していたのは4人(67%)に上った。一方、腹部食道を温存した34人でプロトンポンプ阻害薬を服用したのは3人(9%)にとどまり、「重度の逆流性食道炎は発症していない」(瀬下氏)。

 また、患者のQOLをアンケートにより術式別に比較しても、両群に差は認められなかった。

 これらの結果から瀬下氏は、「腹部食道が温存できて逆流性食道炎が防止できると考えられる場合には、手術時間が長く出血量も多いなど患者への負担の大きい空腸間置術よりも、食道残胃吻合術を再建法として選択すべきではないか」と締めくくった。