切除不能な膵胆管癌は、まだ有効な治療法が定まっていない。7月14日から16日まで下関市で開催されている日本消化器外科学会で、群馬大学病態総合外科学の小林力氏は、こうした癌に対する温熱化学放射線療法の有効性をレトロスペクティブに検討した結果を報告した。

 対象は、1995年1月から2010年6月までに経験した切除不能膵癌30人、切除不能胆管癌23人。温熱化学放射線療法は、ゲムシタビン400mg/m2/週、2Gy/日(計50Gy)、放射線照射野の中心部を最高温度43℃で60分間加温――という方法で行った。

 その結果、膵癌では、ゲムシタビン単独群20人の奏効率が5%だったのに対し、温熱化学放射線療法群10人では30%。胆管癌では、ゲムシタビン単独群6人の奏効率が0%、放射線療法群12人の奏効率が17%だったのに対し、温熱化学放射線療法群5人では40%と高い効果が得られた。

 生存率についても、膵癌ではゲムシタビン単独群の生存期間中央値が151日、1年生存率が5.3%だったのに対し、温熱化学放射線療法群ではそれぞれ247日、22%と延長していた。胆管癌ではゲムシタビン単独群の生存期間中央値199日、2年生存率0%、放射線療法群はそれぞれ273日、7.7%であり、温熱化学放射線療法群ではこれを471日、25.0%に延長できた。

 小林氏は、「温熱療法の併用によって、化学放射線療法の効果を高めることができたと考えられた。今後、ゲムシタビンの使用量を増やす試みや、他の抗癌剤との併用なども検討していきたい」と期待を込めた。