肝切除不能の大腸癌肝転移でも、化学療法を行うことで肝切除が可能になることが報告されているが、肝切除のタイミングを決定する上で、術前のCEA値の推移が有用であることが確認された。熊本大学大学院消化器外科学の増田稔郎氏らが、7月14日から16日まで下関市で開催されている日本消化器外科学会で発表した。

 対象は、2005年5月から2009年12月までに肝切除不能と診断され、FOLFOX療法もしくはFOLFOX療法+ベバシズマブを投与した98人のうち、肝切除が可能となった34人。そのうちFOLFOX療法が28人、FOLFOX療法+ベバシズマブが6人だった。

 対象の平均年齢は63歳(28〜81歳)、原発巣は結腸が22人、直腸が12人で、同時性肝転移が24人、異時性肝転移が10人、肝転移個数は平均で5個(1〜36個)だった。

 肝転移の最大径は、化学療法によって、平均4.5cm(1.6〜15cm)から2.9cm(0.9〜8cm) に有意に縮小した(p<0.001)。RECIST基準に基づいた治療効果はPRが24人、SDが9人、PDが1人だった。CEA 値は平均318.6ng/mlから25.1ng/mlに低下した(p<0.001)。

 3年無増悪生存率は36%、無増悪生存期間(PFS)中央値は1.9年、3年生存率は61%で、生存期間中央値には到達していない。肝切除前のCEA値で正常群(19人)と高値群(18人)に分けたところ、CEA正常群のPFS中央値は3年、高値群は1.2年(p=0.03)、3年生存率はCEA正常群は92%だが、高値群は14%と低かった(p=0.003)。

 続いて、化学療法開始前と2コース終了時のCEA値の推移から、不変群(13人)と低下群(17人)に分けた結果、無増悪生存も全生存も有意に低下群で良好だった(p=0.043、p=0.022)。

 これらの結果から、「化学療法後のCEA値の推移によって術後早期の予後予測が可能であり、CEA値の正常化は肝切除のタイミング決定で有効な指標になる」とした。ただし「CEA値が正常値になるまで肝切除を待つのではなく、推移を見て、低下傾向を示したときに肝切除を検討した方がいい」と語った。