腹膜播種を伴う胃癌にS-1とパクリタキセルによる経静脈・腹腔内化学療法は有効で、奏効した患者で胃切除が可能になり、予後改善が見られることが、フェーズ2試験で明らかになった。東京大学腫瘍外科の石神浩徳氏らが、7月14日から16日まで下関市で開催される日本消化器外科学会で発表した。

 試験の対象は、審査腹腔鏡によりP1(腹膜播種)またはCY1(腹腔内洗浄細胞診陽性)を確認した40人。S-1(80mg/m2)を治療1日目〜14日目に投与し、パクリタキセル(50mg/m2)を治療1日目と8日目に静注、またパクリタキセル(20mg/m2)を腹腔内投与した。この結果、1年全生存率は78%、全生存期間中央値は23.6カ月で、腹水量の減少が62%に、腹水細胞診陰性化が86%に認められた。

 続いて、化学療法によって腹水細胞診が陰性化し、画像診断上、明らかな非治癒因子を認めず、さらに腹腔鏡で腹膜播種が肉眼的に消失または明らかに縮小した患者38人に手術を行った。患者の年齢中央値は57歳(28〜86歳)、組織型は分化型が8人、未分化型が30人で、P1が32人、P0CY1が6人であり、胃癌取扱い規約第12版のP1は5人、P2は8人、P3は19人だった。

 手術前には中央値で3コース(1〜16コース)の化学療法が行われていた。手術は胃全摘が34人、幽門側胃切除が4人で、合併切除臓器は脾臓が17人、膵臓が3人、結腸が10人、付属器が4人で、リンパ節郭清はD2が26人、D1+βが12人だった。

 総合的病期はIB期が1人、II期が3人、IIIA期が9人、IIIB期が10人、IV期が15人で、ダウンステージングは38人中23人(61%)に認められた。治癒切除R0が27人(71%)、R1が5人(13%)、R2が6人(16%)であり、根治度Bは27人(71%)、根治度Cは11人(29%)。組織学的効果はGrade 1aが17人(46%)、Grade 1bが9人(24%)、Grade 2が11人(30%)だった。

 生存期間中央値は34.5カ月で、無再発生存期間中央値は19.6カ月。術後再発は23人で、このうち腹膜への再発が11人、リンパ節が3人、骨が3人などだった。

 腹膜播種の程度で分けると、P0CY1およびP1(規約第12版)の11人では2年生存率は81%で、P2およびP3の27人でも47%だった。根治度Bの27人では2年生存率は62%、根治度Cの11人では53%と、根治度での違いはなかった。これについて石神氏は、「化学療法が効いている状況では、多少の遺残は予後には影響してこない可能性がある」とした。

 これらの結果から、「腹膜播種を伴う胃癌に対して、S-1+パクリタキセルの経静脈・腹腔内化学療法と胃切除による集学的治療は安全かつ有効である」と述べた。なお、このS-1とパクリタキセルの経静脈・腹腔内化学療法は2009年12月に高度医療として承認されている。