セツキシマブの大腸癌における使用成績調査(全例調査)の最終成績が報告された。それによると、副作用のinfusion reactionの発現率は海外と比較して国内で低い傾向がみられたが、間質性肺炎は国内の方が発現率が高く、重篤例も認められた。間質性肺炎が疑われる場合、迅速かつ適切な対応が求められる。7月14日から16日まで下関市で開催されている日本消化器外科学会で、帝京大学医学部外科の渡邉聡明氏が発表した。

 セツキシマブは、EGFR陽性の治癒切除不能な進行・再発の結腸・直腸癌を適応症として、2008年9月19日に発売が開始された。

 国内製造販売後におけるセツキシマブの使用実態の把握と有効性および安全性の確認を目的として全例調査が実施され、渡邉氏は今回その最終報告を行った。

 観察期間は2008年9月19日から2010年1月5日。中央登録方式(事前登録)で観察期間終了後調査票を回収した結果、安全性評価対象は2006人(男性61.5%、65歳以上48.4%)、有効性評価対象は1687人となった。

 治療ラインは3次治療が1869人(93.2%)で最も多かった。使用状況は、セツキシマブ単剤が22.9%、セツキシマブと化学療法との併用が77.1%を占めた。併用した薬剤ではイリノテカンが62.6%で最も多く、次いでFOLFIRIの12.8%だった。

 KRAS検査は、この調査の観察期間にはまだ保険償還の対象ではなかったため、対象の85%はKRAS検査を受けていない状況であった。

 担当医による副作用の判定を集計した結果、副作用発現率は全体で88.7%、そのうちグレード3以上は20.6%であった。皮膚症状が83.2%で最も多く、消化管障害の16.4%、低マグネシウム血症の11.2%が続いた。

 皮膚症状では、ざ瘡様皮膚炎・皮疹87.7%、乾皮症22.2%、爪囲炎17.5%の順に多く、発現までの日数の中央値はそれぞれ15日、39日、52日であった。

 消化管障害の中で、下痢の発現率はセツキシマブ単剤3.7%、イリノテカンとの併用で9.9%であり、後者で有意に高かった(p<0.001)。

 心毒性は全体の0.7%に発現した。薬剤の使用状況による有意差はみられなかった。

 Infusion reactionの発現は、全グレードでは5.6%、グレード3以上では1.0%であった。海外の大規模観察研究の報告では全グレードで15.4%、グレード3以上で2.2%であり、国内の方が低い傾向がみられた。その理由として、抗ヒスタミン薬とステロイドの前投与を行った症例が全体の88.9%を占めていたことが考えられた。

 Infusion reactionは多くが初回投与時に発現した。発現までの時間の中央値をみると、グレード3以上ではほとんどが15分以内に発現していた。またinfusion reactionの発現率は、アレルギーの既往歴がない症例では5.1%、アレルギーの既往がある症例では8.2%と後者で有意に高かった(p=0.04)。

 間質性肺炎の発現は全体では1.1%、グレード3以上では68.2%であった。全体の発現率は、海外で報告されている0.3%と比較すると高い傾向がみられた。薬剤の使用状況による有意差はみられなかった。

 グレード3以上の間質性肺炎が発現した症例では、セツキシマブ単剤で1人、イリノテカンとの併用で4人が死亡したことから、早期に鑑別診断を行い、適切な治療を行うことが重要になる。間質性肺炎が疑われた場合はセツキシマブの投与を中止し、迅速に呼吸器専門医に相談し、ステロイドパルス療法などの適切な処置を行う必要がある。

 低マグネシウム血症も海外の報告と比較して国内で高い傾向がみられたが、その他の副作用については同程度であった。