高度に進行した大腸癌で腸閉塞を起こすと、腹痛や膨満感といった症状によって患者は口から食事を取れなくなり、急速に全身状態が悪化してしまうことが多い。これに対し、根治目的ではない人工肛門の造設が症状の改善に有用であることがわかった。7月16日から18日まで大阪市で開催された第64回日本消化器外科学会総会で、浜松医科大学第二外科の深澤貴子氏が発表した。

 対象は、2003年5月から2009年5月までに、腸閉塞症状の緩和を目的に人工肛門造設を行った29人(男性14人、女性15人、平均年齢64歳)。26人に人工肛門を造設し、3人には人工肛門造設と消化管バイパス術を行った。

 症状の改善については、英国で開発されたSTASという評価尺度を用いた。STASでは、症状が患者に及ぼす影響を「なし(0)」から「重度の症状が持続する(4)」までの5段階で評価する。術前には22人が「重度の症状が持続する」と答えていたが、術後には「時折症状があるが、今以上の治療は必要ではない(1)」以下が23人となり、症状改善率は79.3%に上った。

 さらに、術後1週間で27人(93.1%)が口から食事を取れるようになった。16人(55.2%)は終末期まで入院を必要とする消化器症状を起こさなかった。術後の合併症としては、腸閉塞の再発が2人、腸管壊死による腹腔内膿瘍が1人。人工肛門の脱出や周囲の皮膚トラブルなどは5人だった。術後30日以内に2人が死亡した。

 人工肛門造設後、14人で追加治療が行えるようになった。追加治療を実施できた患者の平均生存期間は219日で、追加治療が実施できなかった患者の平均104日を有意に上回った(p=0.04)。

 深澤氏は「消化器症状のコントロールを目指した人工肛門の造設により、症状の改善や食事の再開といった成果が得られた。手術による身体への負担を考慮する必要はあるが、追加治療が可能になった患者では、予後の改善効果も得られた」と話した。