地域がん診療連携拠点病院における取り組みで、消化器外科医を含む緩和ケアチームによる早期介入により、症状緩和やスムーズな在宅緩和医療への移行がみられる、といった有用性が示された。7月16日から18日に大阪市で開催された第64回日本消化器外科学会総会で、東京慈恵会医科大学附属柏病院外科の田辺義明氏が発表した。

 東京慈恵会医科大学附属柏病院の緩和ケアチームは、外科・内科・精神神経科・麻酔科・婦人科の医師、看護師、薬剤師、管理栄養士、臨床心理士、ソーシャルワーカーで構成される。今年7月からは緩和ケア外来も開始した。

 田辺氏らは、この緩和ケアチームの発足から地域がん診療連携拠点病院に指定された年の年度末まで(2007年6月から2008年3月)を前期、それ以降(2008年4月から2008年12月)を後期として、緩和医療の現状や変化を検討し、緩和ケアにおける消化器外科医の役割も検討した。

 検討の対象は、各科から緩和ケアチームに介入の依頼があった計62人。内訳は、前期25人(年齢中央値64.2歳)、後期37人(同61.5歳)だった。

 緩和ケアチームに依頼した診療科が占める割合で最も多かったのは、前期では消化器外科と婦人科で28%ずつ、後期では婦人科の依頼が1.7倍に増加して47%となり、次いで消化器外科の32%だった。

 依頼の主な理由となる症状で前期・後期を通じて最も多かったのは「疼痛」だった。前期では次いで「嘔気、嘔吐」「しびれ」が多く、後期では「呼吸困難」が続き、次に「腹水」「浮腫」「嘔気、嘔吐」が並んだ。婦人科からの依頼が多く、その終末期は多くが、癌性腹膜炎による消化器症状を呈することから、姑息的手術を含めて消化器外科医が介入する必要性は高いと考えられた。

 緩和ケアの効果については、前期で約40%、後期で約70%以上に有意に症状緩和を認めた。

 このような緩和ケアの効果は転帰にも表れた。在宅と外来通院が可能となったのは、前期の25人中5人(20%)から、後期は37人中14人(37.8%)に増加した。後期で有意に在宅への移行を図ることができた。

 後期で症状や転帰が改善された理由について、田辺氏は「緩和ケアチームの存在が、病院内および地域に浸透してきたためと考える」と話した。