膵癌切除手術を行った症例を解析したところ、腫瘍マーカー「CA19-9」の数値が、予後を予測する重要な因子であることが明らかになった。7月16日から18日まで大阪市で開催された第64回日本消化器外科学会総会で、東北大学消化器外科学の元井冬彦氏が「宮城肝胆膵癌化学療法研究会」参加施設へのアンケート結果として発表した。

 宮城肝胆膵癌化学療法研究会は東北大学のほか、仙台医療センター、仙台オープン病院、仙台厚生病院など計21施設が参加している。この21施設にアンケートを送り、得られた19施設のデータを基に、対象を2003年1月1日から2007年12月31日までの5年間に切除手術を行い、病理学的に膵癌と確定診断された333人(男性203人、女性130人、平均年齢66.7歳)とした。

 切除術式は膵頭切除が最も多く217人、次いで体尾部切除91人だった。76%の患者に術後補助化学療法が行われていた。生存期間中央値は716日だった。

 切除前に四つの腫瘍マーカーの数値を調べたところ、このうちCA19-9の上昇度(測定値を基準値上限値で割ったもの)が最も高かった患者は222人だった。手術の前・後でのCA19-9値によって、陰性(−/−)、正常化(+/−)、非正常化(+/+)の3群に分けて調べたところ、生存期間中央値は腫瘍マーカーの上昇がなかった患者61人が全員生存だったのに対し、正常化群で787日、非正常化群で505日と明らかに短かった(p<0.0001)。

 さらに、CA19-9値非正常化群では、術後の再発も正常化群の65%に比べて79%と高かった。術後の正常化の有無について、膵癌の病期別および組織型別にみたところ、特に相関はみられなかった。一方、切除前のCA19-9値を37〜99 IU/mL、100〜999 IU/mL、1000 IU/mL以上の3群に分けて検討したところ、術後の正常化の有無は明らかな相関を示した(p<0.0001)。

 これらの結果から元井氏は、「CA19-9値が病期や組織型とは独立した予後予測因子になり得る」と述べた。さらに、「術前のCA19-9値が1000 IU/mL以上だった場合、完全切除と考えられても予後不良であるケースを経験する。こうした危険性の高い患者に対し、術前治療をどう行うかなど、今後検討していく必要がある」とした。