和歌山県立医科大学第2外科教授の山上裕機氏は、切除不能進行膵癌及び再発膵癌に対して、ワクチンとして用いる血管内皮成長因子受容体2(VEGFR2)のエピトープペプチド(VEGFR-169、OTS102)とゲムシタビンを投与するフェーズ2/3試験が1月末に始まり、登録患者数は約70人に到達していることを明らかにした。

 実施中のフェーズ2/3試験はベンチャー企業のオンコセラピー・サイエンスの治験として行われているもの(PEGASUS-PC Study)。国内25施設が参加し、2年間で150人の登録を計画している。主要評価項目は全生存期間で、3分の2の患者がワクチンとゲムシタビンの投与を受け、3分の1の患者がプラセボとゲムシタビンの投与を受ける。投薬は4週間を1サイクルとして毎週1回2.0mgのワクチンを皮下に接種し、ゲムシタビンは1週目から3週目まで毎週1000mg/m2を静脈注射し、4週目を休薬とする。

 7月16日から18日に大阪市で開催された日本消化器外科学会総会では、同大学の宮澤基樹氏が、VEGFR-169とゲムシタビンを切除不能進行再膵癌患者(HLA-A*2402陽性)に投与したフェーズ1試験の結果を発表した。上記と同じプロトコールで、投与するワクチンの量は0.5mg、1.0mg、2.0mgの3群に分け、それぞれ6人ずつが登録された。

 試験の結果、ワクチンによると思われる有害事象は注射部位反応で、15人(83%)に認められた。出血や血栓塞栓症などの血管関連の有害事象で、この試験と関連のあるものはなかった。いずれの症例も用量制限毒性は認められず、安全に投与が行われた。

 抗腫瘍効果は、1人で部分奏効(PR)、11人が安定状態(SD)となり、4人が18カ月以上の生存期間を得ることができた。前治療のない症例15人の結果、全生存期間中央値は8.72と良好だった。注射部位の反応の有無で調べたところ、注射部位反応のあった15人では全生存期間中央値は10.0カ月だったが、なしの3人では4.4カ月だった。