腹腔鏡手術と内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)の併用によって、胃の粘膜下腫瘍のより正確な切除が可能になることがわかった。7月16日から18日まで大阪市で開催された第64回日本消化器外科学会総会で、東京医科大学八王子医療センター消化器外科の尾形高士氏が発表した。

 胃の粘膜下腫瘍は、直径5cm以下の場合、お腹に残る傷口が小さい腹腔鏡手術が選択される機会が増えている。だが、特に胃の内腔に増殖するタイプの粘膜下腫瘍の場合、腹腔鏡手術では癌の広がり具合がわかりにくく、胃の過剰切除や術後の縫合部狭窄、胃の変形などを来す恐れがあった。

 ESDは、経口的に挿入した内視鏡の先端から特殊な器具を出して、癌の周囲の粘膜を全周ぐるりと切り開き、癌を表層部からはがし取る内視鏡治療の一つだ。腹腔鏡手術との併用では、内視鏡下にまず腫瘍部分の粘膜を全周ぐるりと切り開いた後、胃壁を貫通する穴を空ける。その穴とESDによる切開線を基に、腹腔鏡手術で腫瘍を切除する。胃壁を閉鎖して手術完了だ。

 尾形氏は、「これまで4人にこの手術を行った。術後在院日数は平均10日で、特に合併症はみられていない。ESDの併用によって胃の切除線が明確になり、余分な胃切除が回避できる。今後の課題としては、内視鏡操作が行いにくい場所にできた腫瘍をどうするかという点、また、コストがかさむという点が挙げられる」とした。