ステージ2/3の食道癌に対する術前化学療法として、DCF療法(ドセタキセル、シスプラチン、5FU)の、シスプラチンと5FUの量を減らした「mDCF療法」が有効であることが明らかになった。7月16日から18日に大阪市で開催された第64回日本消化器外科学会総会で、熊本大学消化器外科の渡邊雅之氏が発表した。

 昨年、JCOG 9907試験で、2コースのFP療法(5FU、シスプラチン)による術前化学療法は、術後化学療法よりも無増悪生存および全生存が有意に延長することが報告されてから、ステージ2/3の食道癌に対しては、術前化学療法が広く行われるようになっている。しかし、「FP療法の奏効率は40%以下と低く、悪心や嘔吐が比較的強いといった問題点がある」と渡邊氏はいう。

 そこで、T4を除くステージ2/3の食道癌で、リンパ節転移陽性の患者において、mDCF療法による術前投与を検討した。投与スケジュールは、ドセタキセル60mg/m2を1日目、シスプラチン6mg/m2と5FU350mg/m2を1〜5日目に投与し、2週間休薬する。これを1コースとして、2コース行った。

 2008年7月から2009年5月までに初回治療としてmDCF療法を行った14人のうち、CT検査で完全奏効(CR)が認められた患者は7%(1人)、部分奏効(PR)は57%(8人)、病勢安定(SD)は36%(5人)で、奏効率は64%となった。

 FDG-PET検査では原発巣の最大SUV値の減少率が平均で57%と、集積は大きく減少した。またリンパ節への集積が消失した患者が57%、減少した患者が22%であった。また組織学的治療効果は、グレード3(完全奏効)が22%、グレード2(かなり有効)が22%、グレード1a(軽度の効果)が56%だった。

 主な有害事象はグレード3/4の好中球減少が11人、発熱性好中球減少が1人だった。

 これらのことから、「mDCF療法は腫瘍縮小効果が高く、リンパ節転移陽性に対する治療効果が良好という特徴がある」と渡邊氏は話した。ただし、治療前後で体重の変化はなかったが血清アルブミン値が低下したことから、「今後は栄養状態の維持が課題である」とも述べた。