プラチナ製剤感受性再発卵巣癌に対するリポソーム化ドキソルビシン(PLD)とカルボプラチン(CBDCA)併用療法を検討したフェーズ2試験から、PLD+CBDCA併用療法(DC療法)は、日本人患者においても血小板減少に留意することで安全に投与できると考えられることが示された。7月19日から21日まで東京・台場で開催された第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で、愛知県がんセンター中央病院婦人科の中西透氏が発表した。

 2009年の米国臨床腫瘍学会で発表されたCALYPSO試験では、プラチナ製剤感受性再発卵巣癌の標準治療と考えられるパクリタキセル+カルボプラチン併用療法を21日間隔で6サイクル行うTC療法に対し、PLD+CBDCA併用療法を28日間隔で6サイクル行うDC療法の非劣性が検証された。DC療法はNCCNのガイドラインに新たな治療として追記され、「卵巣がん治療ガイドライン 2010年版」(日本婦人科腫瘍学会/編)にも治療選択肢として記載された。

 しかし、DC療法の日本人に対する安全性は十分に検討されていない。そのため中西氏らは、日本人のプラチナ製剤感受性再発卵巣癌患者を対象として、DC療法の安全性と有効性を検討した。

 同試験は海外文献をヒストリカルコントロールとするフェーズ2の単群試験で、対象は初回化学療法終了後6カ月以降に再発した卵巣癌患者とした。DC療法の用法と用量はCALYPSO試験に準じ、PLDは30mg/m2、CBDCAはAUC 5でそれぞれ1日目に投与し、28日間隔で、4サイクル以上を目標に16サイクルを上限として繰り返すこととした。主要評価項目は奏効率だった。

 2009年8月1日から2012年1月31日までに35人が登録された。年齢中央値は60歳、BMI中央値は22、ECOG PSは0、初回化学療法のサイクル数中央値は6だった。閉経後の患者が77.1%、上皮性卵巣癌が88.6%、FIGO分類のIII/IV期が88.6%、再発までの期間が12カ月以上の患者が60%を占めた。組織型では漿液性腫瘍が65.7%と最も多く、分化度では低分化が42.9%と最も多かった。

 平均投与サイクル数は5.0、4サイクル以上投与可能だった患者は24人(68.6%)となり、コンプライアンスは良好だった。

 FAS症例33人において、完全奏効(CR)は1人、部分奏効(PR)は16人で得られ、奏効率は51.5%(95%信頼区間:34.5-68.6)となった(p=0.0246)。

 一方、主治医判定では、CRは24人、PRは6人で得られ、奏効率は90.9%(95%信頼区間:81.1-100.0)となった(p<0.0001)。

 FAS症例の奏効率はCALYPSO試験の奏効率(39.1%)と同等だったが、主治医判定による奏効率とは明らかな差がみられた。中西氏はこの差の主な原因として、「CALYPSO試験などですでに奏効率が証明されているため、参加施設ではRECISTによる抗腫瘍評価判定に対する意識が低かったと考えられる」と説明。主治医は臨床症状や腫瘍マーカーなどからも情報を得ており、CTの回数がプロトコールの規定よりも少なかった。ただし、過去の再発卵巣癌に対するDC療法のフェーズ2試験の奏効率(46.2-72.2%)とは同等の結果と考えられた。

 主な有害事象は血液毒性で、グレード3/4の好中球減少は68.1%、血小板減少と白血球減少はそれぞれ40.9%に発現した。グレード4の血小板減少に伴う中止は5人(22.7%)で認められた。グレード3/4の非血液毒性は1人(4.5%)のみに発現し、病状悪化に伴う疲労、呼吸困難感だった。グレード3/4の手掌足底発赤知覚不全症候群や口内炎はみられなかった。