妊孕能温存を希望し広汎性子宮頸部摘出術を実施した臨床進行期IB1期の子宮頸癌患者のうち、腫瘍径3cm以下、45歳未満、扁平上皮癌・高分化型腺癌という適応基準を満たした患者に対し、術後再発リスクが中等度もしくは高度だった場合には追加の術後補助療法を行うことで、再発率は標準療法である広汎子宮全摘出術のものと有意差がないことが報告された。慶應義塾大学産婦人科の杉山重里氏が、7月19日から21日まで東京で開催された第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で発表した。

 同院では、妊孕能温存を希望する子宮頸部初期浸潤癌患者に対し、腹式広汎性子宮頸部摘出術を実施している。

 広汎性子宮頸部摘出術は、妊孕能温存を希望する局所進行子宮頸癌患者への手術方法として子宮頸癌治療ガイドラインに付記されている治療法。しかし、根治性、術後管理などコンセンサスが得られていない面が多く、手術適応については慎重な判断が必要とされている。また、広汎子宮頸部摘出術の術式には腟式と腹式があるが、一般には腟式が主流で、腹式の報告数は限られている。腹式は、基靭帯を幅広く切除できるなどの点がメリットとされている。

 そこで、杉山氏らは、標準術式である広汎子宮全摘出術(RH)と腹式広汎性子宮頸部摘出術(RT)を実施した患者の腫瘍学的予後を比較検討した。

 解析対象は、2002年9月から2011年12月までに同院でRTを施行した患者のうち臨床進行期IB1期の110例(RT群)。対照群として、同時期にRHを実施した臨床進行期IB1期患者のうち、RTの適応基準を満たした患者116例(RH群)を抽出した。
 
 観察期間中央値はRT群が42.5カ月、RH群が48.0カ月、年齢中央値はそれぞれ33歳、36歳。リンパ節転移陽性率、脈管侵襲陽性率、腫瘍径中央値、間質浸潤中央値は、いずれも両群間に有意差はなかった。組織型は両群間に有意差があり、RT群では扁平上皮癌が74.5%、腺癌が25.5%、RH群ではそれぞれ49.1%、50.9%(p<0.01)。

 解析の結果、再発率はRT群が9.1%(10例)、RH群が5.2%(6例)で、有意差はなかった(p=0.205)。

 再発したRT群の患者背景を詳細に検討したところ、術後再発リスクが中等度もしくは高度だったにも関わらず術後補助療法を未施行もしくは不完全だったことが明らかになった。

 そこで、RT群において術後補助治療未施行の9例、、RH群では術後補助治療を未施行の3例を除外し、再度解析した。その結果、再発率はRT群が3.0%(3例)、RH群が4.4%(5例)で、両群間に有意差はなかった(p=0.673)。

 これらの結果から杉山氏は、「これまで報告してきた通り、RTを行う際には的確な症例選択が重要であり、万が一、術後の病理検査で再発リスクが中等度もしくは高度リスクであった場合には術後補助療法をしっかり行うことが大切。腫瘍学的予後がRHに劣らない可能性が示唆された」と語った。

 現在、同科でのRT適応基準は、妊孕能温存を強く希望しており、臨床進行期IA1期(脈管侵襲陽性、癒合浸潤陽性)、IA2期〜IB1期(原則腫瘍径2cmまでとし、外向発育は3cm程度を許容)、コルポ診・MRIで内頸側への進展がないこと、リンパ節転移など子宮外進展を認めないこと、組織型が扁平上皮癌または高分化型腺癌であることとしている。さらに、術後の再発リスクが中程度または高度だった患者に術後補助療法を実施している。