子宮頸癌治療後に卵巣機能が廃絶し、エストロゲン補充療法(ERT)を行っていない人では、高血圧症や高脂血症で治療を開始するケースが増え、メタボリック症候群も増加する傾向のあることが単施設における後方視的解析で確認された。7月19日から東京で開催された第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で、岐阜大学医学部産婦人科の川島英理子氏らが発表した。

 婦人科癌治療において、卵巣摘出や化学療法、放射線療法による低エストロゲン状態によって、心血管疾患リスクが上昇することが指摘されている。

 そこで子宮頸癌治療により閉経に至った92人を対象に、心血管疾患リスクを検討した。臨床進行期はI-III期で、治療により寛解に至った患者とした。

 卵巣機能がなくなった廃絶群71人のうち、ERTを行った人は32人(廃絶ERTあり群)、ERTを行っていない人は39人(廃絶ERTなし群)で、卵巣機能の温存群は21人であった。なお温存群は子宮全摘と卵巣温存で放射線治療はなく、廃絶群は子宮全摘と両側卵巣摘出、あるいは子宮全摘と卵巣摘出の後に放射線全骨盤照射、あるいは全骨盤照射等であった。

 分析の結果、両群に癌治療後に新たな虚血性心疾患、脳血管疾患の発生はなかった。また癌治療の前後で、両群でBMIや腹囲に明らかな違いはなかった。しかし高血圧症で治療を受けている人の割合が、廃絶ERTなし群では、治療前は5.6%だったが、治療後は11.1%に増加した。廃絶ERTあり群と温存群では治療前後で変わらなかった。

 また高脂血症で治療を受けている人の割合は、廃絶ERTあり群では治療前の0%から治療後は17.6%に、廃絶ERTなし群では2.8%から8.3%に増加した。

 メタボリック症候群については、診断基準(改訂NCEP-ATP III)を満たす人が、廃絶ERTあり群では治療前の3.1%から治療後は6.3%に、廃絶ERTなし群では7.7%から12.8%に増加。温存群では4.8%から0%になった。

 以上の結果から、川島氏は「子宮頸癌治療後の術後管理において、再発・再燃の早期発見がなにより重要だが、脂質代謝や血圧にも留意し、患者の長期の健康管理が必要である」とした。