卵巣明細胞腺癌I期の再発リスク因子を検討した結果、リンパ節摘出個数が36個以下の患者、進行期Ic期の患者では再発リスクが高かったことが報告された。自治医科大学産婦人科の竹井裕二氏が、7月19日から21日まで東京都内で開催された第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で発表した。

 卵巣明細胞腺癌は化学療法の奏効率が低く、ほかの組織型と比べてI期であっても予後不良であることが知られる。そのため、海外、日本のガイドラインともに、Ia期からステージング手術後の化学療法が推奨されている。しかし、術後化学療法の有効性やステージング手術の意義など、再発リスク因子に関しては不明な点が多い。

 そこで竹井氏らは、卵巣明細胞腺癌I期の再発リスク因子を後方視的に解析した。

 対象は、1988〜2009年に同院でステージング手術で診断した明細胞腺癌I期の患者49例。

 年齢中央値は52歳(範囲31-72)、腫瘍径中央値は12cm(同5-25)、摘出リンパ節個数中央値は54(6-96)、術後化学療法実施率は78%だった。FIGO進行期分類はIa期が24%、Ic(a)期が10%、Ic(b)期が43%、Ic(1)期が4%、Ic(2)期が18%。

 再発は17例、死亡は12例で認められた。5年無再発生存(RFS)率は65%、5年生存(OS)率は72%だった。 

 独立した再発リスク因子を検討した結果、進行期Ic期(ハザード比9.737、95%信頼区間:1.236-76.698、p=0.031)と、摘出リンパ節個数36個以下(ハザード比4.525、1.664-12.304、p=0.003)が抽出された。なお、摘出リンパ節個数のカットオフ値は、ROC曲線から求めた。

 5年RFS率は、進行期Ia期が100%、Ic期が53%、摘出リンパ節個数36個以下は34%、摘出リンパ節個数37個以上は75%だった。

 同様にOSについて単変量解析を行ったところ、進行期Ic期のみが予後不良因子として抽出された(p=0.032)。5年OS率はIa期が100%に対し、Ic期は63%だった。また、リンパ節摘出個数30個以下の患者は予後不良の傾向だった(p=0.055)。

 これらの結果から竹井氏は、「卵巣明細胞腺癌I期においては、亜分類病期と摘出リンパ節個数が再発と関連していた。摘出リンパ節個数が少なかった患者では、リンパ節転移が摘出され損ねたことによる、いわゆるかくれIIIc期がいるために予後が悪いと推測された。十分なリンパ節郭清を含むステージング手術は、正確な病理診断と共に再発予防につながる可能性が示唆される」と語った。