同時化学放射線治療後に再発した子宮頸癌患者においてmTORが発現していたことから、mTOR発現は同時化学放射線治療抵抗性に関係している可能性が示唆された。徳島大学産婦人科の西村正人氏が、7月19日から21日まで東京都内で開催された第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で発表した。

 これまでに、子宮頸部腺癌患者のおよそ半数でmTORが発現し、独立した予後不良因子であること、ヒトパピローマウイルス感染例ではmTOR経路が活性化されていることなどが報告されている。

 今回、西村氏らは、子宮頸癌患者におけるmTOR発現の意義について検討した。

 対象は、2009〜2011年に子宮頸癌の診断を受け治療を実施した29〜90歳の51例。mTOR発現状態は、治療前の生検で得られた組織を抗mTORモノクローナル抗体で免疫染色した。染色割合が5%未満だった場合を陰性、5〜20%は陽性、20%以上は強陽性と定義した。

 組織型は扁平上皮癌が最も多く41例、腺癌が8例、未分化癌が2例。進行期はI期が17例、II期が13例、III期が17例、IV期が4例だった。主治療は、同時化学放射線治療を実施した患者が38例と最も多く、手術が11例、化学療法が4例だった。同時化学放射線治療では、外照射50G(2Gy×25回)、腔内照射 24Gy(6Gy×4回)を実施したほか、同時に週1回シスプラチン30mg/m2を5週にわたり投与した。

 解析の結果、子宮頸癌患者におけるmTOR発現率は69%だった(陽性が17例、陽性が18例)。組織型別のmTOR発現状態は、扁平上皮癌が66%、腺癌が88%、未分化癌が50%だった。

 mTOR陽性患者における骨盤リンパ節転移頻度は51%、基靭帯浸潤頻度は74%だったのに対し、mTOR陰性患者はそれぞれ13%、38%で、いずれもmTOR陽性患者で有意に高かった(それぞれp=0.008、p=0.012)。一方、傍大動脈リンパ節転移頻度は両群間に有意差はなかった(p=0.210)。

 主治療で同時化学放射線治療を行った子宮頸癌患者38例についてさらに解析を行ったところ、腫瘍径とmTOR発現状態との間に関連は認められなかった。

 一方、mTOR陽性患者では再発が9例認められたのに対し、mTOR陰性患者は0例で、両群間に有意差が見られた(p=0.040)。再発患者における腫瘍径は0〜7.0cmと値がばらついていたことから、腫瘍径に関わらずmTORが陽性だった場合は再発する可能性が高いのではないかと西村氏は考察する。
 
 西村氏は、「今回の検討において、mTOR陽性の子宮頸癌患者では同時化学放射線治療が奏功しない症例があった。主治療として同時化学放射線治療と手術療法のどちらを選択するか迷った場合、mTOR陽性であれば手術療法を、mTOR陰性であれば同時化学放射線治療を選択することで奏功する可能性が高いことが示唆される」と語った。