主にIIB期、IIIB期のリンパ節転移がある子宮頸癌患者では、根治的放射線治療に合計56〜60Gyのboost照射を追加することで、転移リンパ節サイズによらず、骨盤内再発を抑制できる可能性が示唆された。晩期合併症はboost照射を追加しても増加しなかった。琉球大学放射線科の有賀拓郎氏が、7月19日から21日まで東京都内で開催されている第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で発表した。

 NCCNガイドラインでは、画像上認められたリンパ節転移に対して、積極的な外科的切除を推奨しているほか、オプションとして10〜15Gyを追加で照射するboost照射の実施を示している。また、日本のガイドラインでは、根治的放射線治療を実施したIb・II期の子宮頸癌患者のうち、転移が疑われる骨盤転移や子宮傍結合織があった場合は6〜10Gyのboost照射を行う選択肢を示しているが、治療成績に関する報告は少ない。

 そこで有賀氏らは、根治的放射線治療を実施した子宮頸癌患者のうち、骨盤リンパ節転移陽性例へboost照射を追加した際の治療成績を検討した。

 対象は、1998年1月〜2005年12月に同院で根治的放射線治療または同時化学放射線治療を実施したIB1〜IVA期の子宮頸癌患者174例。年齢中央値は51歳(範囲24〜89歳)、原発巣腫瘍径中央値は55mm(24〜95mm)、病理組織型の内訳は、扁平上皮癌が96%、腺癌が3%、腺扁平上皮癌が1%だった。FIGOステージ分類は、IB1期が8%、IIB期が44%、IIIB期が40%。 

 同時化学放射線治療を実施したのは150例、放射線治療単独は24例だった。このうちリンパ節転移のある患者(CTまたはMRIで腫瘍の短径が10mm以上、総腸骨および傍大動脈リンパ節転移患者は除外)は57例だった。

 全例に外部照射(全骨盤照射は合計30〜40Gy、中央遮蔽で合計10〜20Gy)と高線量率腔内照射(合計18〜24Gy)を行った。さらに骨盤リンパ節転移陽性患者には、転移リンパ節に合計56〜60Gyが照射されるように、6〜10Gyを3〜5回照射するboost照射を追加した。骨盤リンパ節転移陽性患者のうち、病変がほぼ消失した5例はboost照射を省略した。また、同時化学放射線治療では、放射線治療と同時にシスプラチン20mg/m2を連日5日間投与するスケジュールを1コースとし、3週間ごとに実施した。

 観察期間中央値は66カ月(範囲3〜142カ月)。同時化学放射線治療における化学療法の投与コース中央値は2コース(範囲1〜6)だった。リンパ節転移陽性患者における転移リンパ節の最大径中央値は15mm(範囲10〜60mm)、個数中央値は2個(範囲1〜4個)だった。

 解析の結果、骨盤リンパ節転移の有無別の無再発生存率は、リンパ節転移陰性患者が84%だったのに対し、リンパ節転移陽性患者は58%、全生存率はそれぞれ92%、73%で、骨盤リンパ節転移陽性患者の予後は有意に不良だった(それぞれp<0.001、p=0.001)。

 さらに、リンパ節転移陽性患者における再発部位を見ると、遠隔転移例が最も多く20例で、特に傍大動脈領域が多かった。原発巣再発が8例、骨盤内リンパ節再発が5例だった。

 根治的放射線治療に合計56〜60Gyのboost照射を追加した52例を含む骨盤リンパ節転移陽性患者(57例)について、転移リンパ節サイズ別に再発率を調べたところ、10〜19mm群(34例)が12%(4例)、20〜29mm群(14例)が0%、30mm以上群が11%(1例)で、各群間の再発率に有意差はなかったほか(p=0.76)、これまでに報告されたリンパ節転移を外科的切除した際の治療成績と比べても低い再発率だった。なお、病変が消失したためにboost照射を省略したリンパ節転移陽性患者5例において再発は認められなかった。

 部位別に全グレードの晩期合併症の発現率を見ると、小腸ではboost照射実施群(52例)が13%、boost照射なし群(122群)が15%、直腸はそれぞれ2%、5%、膀胱は4%、2%だった。グレード3以上の重篤な合併症は小腸のみに見られ、boost有り群が4%、なし群が1%だった。

 有賀氏は、「古典的な線量効果関係のデータに従えば、2cm以下の病変でも最低60Gyが、それ以上であれば70Gy程度が制御に必要と考えられている。今回の結果から、転移リンパ節サイズによらずに計56〜60Gyのboost照射で骨盤リンパ節転移を制御できる可能性が示唆された」と語った。