日本人の進行および再発子宮体癌患者を対象としたTAP療法(ドキソルビシン、シスプラチン、パクリタキセル)のfeasibility studyにおいて、忍容性が確認され、顆粒球コロニー刺激因子(G-CSF)の予防投与を行わなくても安全に投与できる可能性が示された。ただし、消化器毒性は軽微だったが、末梢神経障害、関節痛、全身倦怠感は高頻度に発生した。7月19日から21日まで東京・台場で開催されている第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で、埼玉医科大学国際医療センター婦人科腫瘍科(現:兵庫県立がんセンター婦人科)の長尾昌二氏が発表した。

 GOG177試験では、AP療法(ドキソルビシン、シスプラチン)と予防的にG-CSFを投与したTAP療法を比較し、全生存期間(OS)、無増悪生存期間(PFS)はTAP療法で有意に改善したことが報告された。しかし、TAP療法は末梢神経毒性の発現率が高く、G-CSFの予防投与が必要であり、日本人のデータが少ないことなどから、日本では標準療法に加えられていない。

 長尾氏らは、日本人におけるTAP療法のfeasibility、国内の保険事情に合わせた投与法(予防的G-CSF投与を省略)の安全性、支持療法の進歩による毒性の変化を確認することを目的として、feasibility studyを行った。

 対象は病理組織学的に診断が確定した高リスク子宮体癌患者。筋層浸潤が1/2を超えるFIGO I/II期、すべてのFIGO III/IV期、化学療法の既往がない再発とし、子宮癌肉腫も対象に含めた。

 治療として、ドキソルビシン45mg/m2を1日目に、シスプラチン50mg/m2を1日目に、パクリタキセル160mg/m2を2日目に点滴静注し、3週ごとに繰り返し、6サイクルを目標とした。予防的G-CSF投与は行わず、保険適応に沿って投与することとした。血液検査は3、8、15日目に行うことと規定した。アプレピタントとデキサメタゾンは1-3日目まで、パロノセトロンは1日目に投与した。

 主要評価項目は治療完遂率、有害事象の種類および発生率で、治療完遂率は60%をもってfeasibleと判定することとした。副次的評価項目は奏効率、PFSで、今回は観察期間が短いことから、奏効率のみが報告された。

 2010年8月から2012年12月までに35人(年齢中央値60歳)が登録された。PS 0は31人、1は4人だった。FIGO分類では、I期が7人、II期が4人、III期が13人、IV期が10人、再発が1人だった。組織型では、類内膜腺癌が26人、癌肉腫が4人、漿液性腺癌が2人、その他3人だった。術後補助療法は22人、術前補助療法(NAC)は12人だった。

 25人(71%)が6サイクルを完遂した。血液毒性では、グレード3/4の好中球減少が34人(97%)に発現したが、血小板減少は2人(6%)、貧血は12人(34%)、発熱性好中球減少は3人(9%)だった。G-CSFは22人(63%)に投与されたが、サイクル数でみると、186サイクル中34サイクル(18%)での投与だった。

 消化器毒性は、グレード2以上の悪心が11人(31%)、嘔吐が3人(9%)などで軽微だった。一方、関節痛は13人(37%)、末梢神経障害は11人(31%)、倦怠感は9人(26%)と高頻度に発現した。

 評価可能病変を有する15人において、完全奏効(CR)は4人、部分奏効(PR)は8人で得られ、奏効率は80%となった。

 長尾氏は「今回の結果から、TAP療法は標準的な子宮体癌に対するレジメンの一つとして加えうると考えられる。全身状態が良好で、NACでの使用などに条件を絞れば、この3剤併用療法も選択しうるのではないか」と考察した。

 現在GOG209試験では、TC療法(パクリタキセル、カルボプラチン)のTAP療法に対する非劣性が検証中であり、中間報告では非劣性が報告されている。長尾氏は「同試験の結果により、TAP療法の位置付けが変わる可能性もあり、最終結果を注意してみる必要がある」と話した。