再発卵巣明細胞腺癌に対し、mTOR阻害剤のテムシロリムスと新規抗癌剤trabectedinの併用療法が一部の患者で有効性を示し、副作用も軽度であることが明らかになった。7月19日から東京で開催されている第54回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で、防衛医科大学校産婦人科の高野政志氏らが発表した。

 卵巣明細胞癌は化学療法が奏効しないことが多く、再発例では特に予後が不良なため、新たな治療薬が求められている。Trabectedinは海洋生物のホヤの一種(Ecteinascidia turbinata)から得られた新規抗癌剤。DNAに結合して、細胞分裂や遺伝子転写、DNA修復機構を妨げる。欧州では進行または転移性軟部組織肉腫の治療薬として承認されている。国内でも悪性軟部腫瘍を対象とした臨床試験が行われている。

 mTOR阻害剤であるテムシロリムスは卵巣明細胞腺癌に効果があるといわれ、trabectedinも再発卵巣癌に一定の効果があることが報告されている。基礎的な研究では、卵巣明細胞腺癌に対し、テムシロリムスとtrabectedinの併用により抗腫瘍効果の増強が示されている。
 
 そこで両剤の併用療法が試みられた。対象は、再発・前治療抵抗性の卵巣明細胞腺癌患者。テムシロリムスは10mg/m2、trabectedinは海外承認用量と同じ0.15mg/m2を、3週投与1週休薬のスケジュールで1日目、8日目、15日目に投与。病勢進行(PD)または副作用中止まで投与継続した。
 
 2コース以上を完遂した12人において解析が行われた。患者の年齢中央値は60歳、Stage I/IIが5人、Stage IIIが6人、Stage IVが1人だった。前レジメン数の中央値は3回。プラチナ系抗癌剤抵抗性の患者が9人だった。
 
 抗腫瘍効果はRECISTで判定した。その結果、CRが1人(8%)、PRが1人(8%)で、奏効率は17%となった。3カ月以上のSDが4人(33%)であり、病勢制御率は50%であった。奏効期間の中央値は3.5カ月だった。
 
 副作用はすべてグレード1で、副作用による中止はなかった。主な副作用は好中球減少、貧血が各25%で、疲労感が33%、味覚変化、神経障害が各25%に見られた。
 
 これらの結果から高野氏は、「半数でSD以上の臨床的有用性が得られた。毒性は軽度で、長期間の奏効例も認められた」とした。