子宮体癌の術式決定において、術中迅速病理診断によって再発リスクを分類することは、拡大・縮小手術を防ぐために有効である可能性が報告された。ただし、再発リスクの評価が困難だった患者が6.9%おり、術後診断で脈管侵襲やリンパ節転移が認められた。昭和大学産婦人科の宮本真豪氏が、7月19日から東京都内で開幕した第52回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で発表した。

 子宮体癌において、後腹膜リンパ節郭清範囲は、組織型や分化度、筋層浸潤の程度によって決定する。しかし、郭清範囲を決定する一定の基準がないのが現状だ。郭清範囲の決定のために、術前診断として子宮内膜組織診とMRI検査が行われるが、組織型や分化度、筋層浸潤の評価が困難なことがある。 
 
 そこで、宮本氏らは、組織型、分化度、筋層浸潤を評価するための手法の1つとして知られる術中迅速病理診断の信頼性を、術後病理診断の結果を比較することで、後方視的に検討した。

 対象は、2003年1月〜2011年12月に同院で術中迅速病理診断で評価し、手術を実施した子宮体癌患者131人。組織型、分化度、筋層浸潤の術前評価は、内膜組織診と骨盤MRI検査で行った。術中迅速病理診断では、病理医が肉眼的に観察し、病巣の最大割面と思われる部位を原則1カ所切り出した。

 術後診断をもとに評価した正診率では、組織型、筋層浸潤、組織型および筋層浸潤のいずれにおいても術中迅速病理診断の方が有意に正診率が高かった。組織型の正診率は、術前診断が73.2%、術中迅速病理診断が87.0%(p=0.005)、筋層浸潤についてはそれぞれ80.2%、90.1%(p=0.024)、組織型+筋層浸潤については58.7%、79.3%(p=0.000)だった。

 組織型別の正診率では、類内膜腺癌においてのみ有意差が認められ、術前診断が74.1%だったのに対し、術中迅速病理診断は88.8%と有意に高かった(p=0.004)。

 特に、類内膜腺癌G3症例における診断精度について調べると、術前診断の感度は60.0%、特異度は98.1%、陽性的中率は75%、陰性的中率は96.3%だった。一方、術中迅速病理診断は感度が88.1%、特異度が98.1%、陽性的中率が80%、陰性的中率が99.0%で、術前診断よりも診断精度が高かった。

 筋層浸潤の診断率についても、術前診断より術中迅速病理診断の方が有意に高かった。また、筋層浸潤が2分の1以下の患者では、術前診断と術中迅速病理診断どちらも診断率が高まることが分かった。筋層浸潤が2分の1以下の患者における術前診断の精度は、感度が83.8%、特異度が68.8%、陽性的中率が89.2%、陰性的中率が57.9%。一方、術中迅速病理診断は感度が97.0%、特異度が68.8%、陽性的中率が90.6%、陰性的中率が88.0%だった。

 術後診断よって再発リスク分類が上昇した患者は全体の6.9%で、脈管侵襲のみが3人、脈管侵襲とリンパ節転移が4人で確認された。

 これらの結果から宮本氏は、子宮体癌における術式決定において、術中迅速病理診断を用いて再発リスク分類することは、拡大縮小手術を防ぐ上で有効な方法であるとした。ただし、術中迅速病理診断よりも術後診断で再発リスク分類が上昇したケースが存在し、脈管侵襲やリンパ節転移が認められたことから、「今後はセンチネルリンパ節生検などを含め、術前・術中の十分な評価法について、さらに検討したい」と語った。