40歳以下の上皮性卵巣癌患者の臨床病理学的特徴として、予後が有意に良好だったほか、FIGO病期分類I期、粘液性腺癌の割合が、41歳以上の患者と比べて有意に高いことが示された。名古屋大学産婦人科の芳川修久氏が、7月19日に東京都内で開幕した第52回日本婦人科腫瘍学会学術講演会で、若年性卵巣癌の臨床病理学的特徴と予後因子の解析結果について発表した。

 卵巣癌治療のうち、一部の早期癌については、妊孕性温存を目的とした縮小手術へのニーズが高まっている。そこで芳川氏らは、若年性卵巣癌の臨床病理学的特徴を明らかにするため、若年性卵巣癌の臨床病理学的特徴と予後因子を解析した。

 解析対象は、1986年1月〜2011年12月までに名古屋大学とその関連病院から構成される東海卵巣腫瘍研究会に登録された上皮性卵巣癌患者1562人。境界悪性腫瘍を除いたほか、病期、診断確定日、年齢、予後のいずれかの情報が欠落している患者を除外した。40歳以下群(199人)と41歳以上群(1363人)の2群に分けて、臨床病理学的特徴と予後因子を後ろ向き解析した。

 その結果、40歳以下群の5年生存率、10年生存率は、それぞれ73.3%、68.4%だったのに対し、41歳以上群は64.4%、54.0%となり、40歳以下群で有意に良好な予後が示された(p<0.05)。

 患者背景を比較したところ、40歳以下群ではFIGO病期分類のI期が67.3%を占めていたのに対し、41歳以上群ではI期が42.6%、III期が36.0%で、両群間において各病期の割合に有意差が見られた。組織型については、40歳以下群では粘液性腺癌が最も多く36.7%を占めていたのに対し、41歳以上群では漿液性腺癌が39.0%と最も多かった。

 40歳以下群の組織型について詳細に検討すると、FIGO病期分類I期の患者では粘液性腺癌の割合が最も多く45%だったのに対し、II-IV期の患者では各組織型の割合がほぼ均等だった。一方、41歳以上群のうち、FIGO病期分類I期の患者では漿液性腺癌が40%を占め、II-IV期では漿液性腺癌が最も多く57%だった。

 組織型別とFIGO病期分類(I期、II-IV期)の条件を合わせた上で5年生存率を比較したところ、粘液性腺癌患者のII-IV期では、40歳以下群の5年生存率が、41歳以上群と比べ有意に予後不良だった(p=0.050)。一方、粘液性腺癌のI期では両群間の5年生存率に有意差は見られなかった。同様に、漿液性腺癌、類内膜腺癌、明細胞腺癌においても、I期とII-IV期に分けた上で5年生存率を比較したが、40歳以下群と41歳以上群との間には有意差は認められなかった。

 芳川氏は、40歳以下群の予後が41歳以上群よりも有意に良好だったことについて、「病期と組織型の条件をそろえると、その多くは5年生存率に有意差がなかったことから、40歳以下群でI期の粘液性腺癌が有意に多いことが要因と考えられる」と指摘した。また、今回の解析では少数群を細分化したバイアスが存在することに触れた上で、今後より大規模な母集団の解析が望ましいと語った。