再発卵巣癌に対してイリノテカンカルボプラチンを併用するフェーズ2試験から、プラチナ製剤抵抗性群、感受性群共に有効であることが示された。7月22日から札幌市で開催された第50回日本婦人科腫瘍学会で、兵庫医科大学産科婦人科の鍔本浩志氏が発表した。

 このフェーズ2試験が計画された2003年当時、前治療から6カ月以上経過してから再発した卵巣癌に対し、パクリタキセル+カルボプラチン併用の有効性が示された。ゲムシタビン+カルボプラチン併用の有効性を検討するRCTは2002年に症例集積が終了、リポソーム化ドキソルビシンとカルボプラチンについては、2002年に症例集積を始めた段階だった。カルボプラチン+リポソーム化ドキソルビシンとカルボプラチン+パクリタキセルを比較するCALYPSO試験についても、2005年に症例集積が始まった。さらに、前治療から6カ月未満の再発卵巣癌に対しても、プラチナ製剤をベースとした併用療法が奏効率(RR)、無増悪生存期間(PFS)、全生存期間(OS)において有効であるとするレトロスペクティブな解析が2003年に報告された。また日本では、2005年にカルボプラチンとの併用薬剤として、イリノテカンも有望な薬剤であると考えられ、フェーズ1試験が終了していた。

 こうした状況の中、鍔本氏ら関西臨床腫瘍研究会(KCOG)は、イリノテカンとカルボプラチンを併用したフェーズ2試験KCOG-0330試験を計画した。プロトコールは2004年にKCOGプロトコール委員会で承認され、2005年からはWeb登録システムにより登録を開始した。

 対象は、原発巣が上皮性卵巣癌または卵管癌、腹膜癌であると組織学的に証明されている20歳以上の患者。タキサンとプラチナによる化学療法既応で再発・再燃例、ECOG PSが0〜2、活動性の感染症、活動性の重複癌、腸閉塞、重篤な心疾患、廃液を必要とする胸水・腹水、症状がある脳転移を有しない症例、本人から文書でインフォームドコンセントが得られており、適切な臓器機能を有する症例を対象とした。

 同試験では、RECISTに規定される測定可能病変が出現もしくは増悪した場合、または血清中のCA125の上昇が?初回手術時のCA125の最低値が施設基準地内だった場合には、施設基準値上限の2倍以上、?初回手術時のCA125の最低値が施設基準値上限を超えていた場合には、2週間以上の間隔を空けて最低値の2倍以上の上昇があった場合に、再発・再燃と定義した。

 治療は、イリノテカン60mg/m2を1日目と8日目に、カルボプラチンは血中薬物濃度-時間曲線下面積(AUC)5mg・min/mLを1日目とし、3週間ごとに最大6コース投与した。ただし、?グレード4の好中球減少の場合、?グレード3の血小板減少の場合は減量すると規定し、イリノテカン50mg/m2、カルボプラチンAUCを4mg・min/mLとしたが、2007年のプロトコール改定でイリノテカンを40mg/m2、カルボプラチンをAUC4mg・min/mLとする規定を追加した。

 患者は、2005年3月から2009年1月に登録した40例で、年齢は中央値59歳(33-78歳)。前治療のレジメン数は、48%が1レジメン、30%が2レジメン、22%が3レジメン以上だった。前治療後からの期間(TFI)は、43%が1〜3カ月、8%が4〜5カ月、23%が6〜11カ月、残り28%が1年以上だった。組織学的には、68%に当たる27人が漿液性腺癌、18%に当たる7人が類内膜腺癌、残り14%に当たる6人はその他だった。再発・再燃形態は、測定可能病原が出現もしくは増悪した患者が88%に当たる35人、血清中のCA125が上昇した患者が12%に当たる5人だった。

 主要評価項目である奏効率は、測定可能病変がある場合にはRECISTで判定、血清CA125で判定する場合は、4週間空けて50%以下だった場合を部分奏効とした。結果、TFIが6カ月未満の20例のうち、RECIST評価では完全奏効2例、部分奏効3例、病勢安定6例、病勢進行5例、評価不能2例。完全奏効と部分奏効を合わせた割合による奏効率は28%だった。血清中のCA125が上昇したのは2例だった。TFIが6カ月以上だった20例のうちでは、完全奏効6例、部分奏効3例、病勢安定5例、病勢進行3例、評価不能0例。奏効率は53%だった。血清中のCA125が上昇したのは3例だった。RECISTによる結果とCA125上昇による結果を合わせた奏効率は、TFI6カ月未満が25%、6カ月以上が60%だった。TFI6カ月未満のPFSは5カ月(中央値)で、OSは11カ月(中央値)。TFI6カ月以上のPFSは10カ月(中央値)で、OSは26カ月(中央値)だった。

 副評価指標とした有害事象は、CTCAE ver2.0 JCOG版で判定。ほかに、無増悪生存期間、生存期間を副評価指標とした。有害事象としては、グレード3以上の血液毒性は、白血球数減少が53%に当たる21人で、グレード3が14人、グレード4が7人。好中球減少68%に当たる27人で、グレード3が14人、グレード4が13人。血小板減少は43%に当たる17人で、全員がグレード3だった。ヘモグロビン減少も全員がグレード3で、18%に当たる7人だった。グレード2以上の非血液毒性は、悪心が3人、疲労2人、嘔気1人、下痢1人だった。発熱性好中球減少症(FN)は2人。プロトコールの完遂率は18%に当たる7人だった。

 試験中、2コース目の遅延を、70%に当たる28例に認めた。イリノテカンとカルボプラチンの併用療法を3カ月以上継続した21例(遅延や減量などのプロトコール逸脱例を含む)について、イリノテカンの中央値は1週間当たり30.5(15-40)mg/m2、カルボプラチンのAUCの中央値は1週間当たり1.4(1.1-1.7)mg・min/mLであった。

 同試験は、症例集積が遅延し40例の登録に約4年を要した。血小板減少などの骨髄毒性が予想より高度であったことなどから、安全性評価のために登録を一時中止し、効果・安全性評価委員会を開催し、2007年7月にプロトコールを改定した。また、2007年の卵巣癌治療ガイドラインで、TFIが6カ月未満の場合には単剤が、TFIが6カ月以上の場合には前治療と同様のレジメンが推奨されたことなどを、試験の遅延に影響した問題点として挙げた。

 これらの結果から小田切氏らは、「TFIが6カ月以上のプラチナ感受性症例の再発卵巣癌に対するイリノテカン、カルボプラチン併用療法は、有効であると思われる。TFIが6カ月未満のプラチナ抵抗性症例についても、奏効率、PFS共に良好であった」と結論した。さらに、実投与量から推奨されるレジメンは、1日目と8日目にイリノテカン60mg/m2と、1日目にカルボプラチンをAUC5mg・min/mLの量で4週毎に投与、もしくは1日目と8日目にイリノテカン45mg/m2と、1日目にカルボプラチンをAUC4mg・min/mLを3週毎に投与するのが推奨されるとした。