婦人科悪性腫瘍患者の消化管閉塞に対する、持続性ソマトスタチンアナログであるオクトレオチドの有効性と安全性が確認された。7月22日から札幌市で開催された第50回日本婦人科腫瘍学会で、北海道大学婦人科の小田切哲二氏が発表した。

 癌における消化管閉塞は、悪心・嘔吐などの消化器症状を伴い、患者のQOLを著しく低下させる。オクトレオチドは、消化液分泌および消化管運動の抑制作用、水分および電解質吸収促進作用が報告されている。また、消化管閉塞に伴う消化器症状に対する効果も報告されている。今回小田切氏らは、進行・再発婦人科癌における消化管閉塞に対するオクトレオチドの有効性および有害事象の有無を検討し、その結果を報告した。評価するポイントは、嘔吐回数、悪心、食欲不振、全身倦怠感、腹部膨満感の改善効果とした。

 選択基準は、組織学的あるいは細胞学的に悪性腫瘍と診断された患者で、非胃管挿入例では1日1回以上の嘔吐が発現している症例、胃管挿入例は経鼻胃管が挿入されており、1日300mL/dL以上の排液量が観察されている症例とした。また、一定以上の肝機能(総ビリルビン≦2.0mg/dL)を有することが確認され、20歳以上80歳未満、他の抗癌剤を併用していない症例とした。

 対象は、2006年3月から2010年3月の期間に、婦人科悪性腫瘍による消化管閉塞と診断された患者22人で、内訳は、卵巣癌が12例、子宮癌6例、子宮体癌・卵巣癌1例、腹膜癌3例だった。

 投与方法としては、オクトレオチド300μg/日を14日間、原則24時間持続皮下注射した。7日目に効果が認められなかった場合は、8日目以降600μg/日に増量。15日目以降の継続投与は、試験担当医師の判断で実施した。嘔吐の評価は、消化管閉塞に伴う臨床症状として、嘔吐回数、悪心、食欲不振、全身倦怠感、腹部膨満感をNCL_CTCAE ver3.0版によるグレードで判定した。非胃管挿入例では、オクトレオチド投与でグレード0になった場合をComplete Control(CC)、グレードが1段階以上低下した場合をPartial control(PC)、それ以外をNo control(NC)とし、胃管挿入例では、排液量の減少が認められた場合に抜管し嘔吐回数を評価、胃管抜去後の嘔吐のグレードがグレード 0となった状態をCC、胃管抜去かつ嘔吐が1日1回(グレード1)となった場合をPCと評価した。

 患者背景として、胃管なしは14例、胃管ありは8例。消化管閉塞部位は小腸14例、大腸3例、直腸1例、癌性腹膜炎1例を含む部位不詳例は4例だった。

 全体の22例中、68.2%にあたる15例で嘔吐が消失し、CCと判定されたPCは3例、NCは4例だった。非胃管挿入例では14例中78.6%にあたる11例で嘔吐が消失。胃管挿入例では、9例中55.6%にあたる5例で胃管を抜去できた。また、4人は胃管抜去後の嘔吐も消失し、CCと判定された。

 胃管からの排液量についても、投与前と投与後4日目、8日目に測定した。8日目に排液量が戻ってしまう傾向がみられたものの、投与前と比較すると量が減少しており、統計的に有意差が認められた。

 なお、重篤な有害事象の発現はなく、GOT上昇、GPT上昇、ALP上昇、総ビリルビン上昇についてそれぞれ数値の上昇がみられる症例があったものの、原病の悪化に伴う数値の上昇であると判断された。

 これらの結果から小田切氏らは、「婦人科悪性腫瘍による消化管閉塞患者に対して、オクトレオチド治療により嘔吐回数や悪心が著明に低下し、良好な改善がみられた。また、重篤な有害事象の発現はなく、安全性には問題がないと考えられる」と結論した。