子宮頸癌術後補助療法として、タキサン/プラチナ併用療法は放射線治療に比べて高い生存率改善効果が期待できることが示唆された。7月22日から札幌市で開催されている第50回日本婦人科腫瘍学会で、北海道大学婦人科の金野陽輔氏が発表した。

 子宮頸部扁平上皮癌のIb1期からIIb期までの症例に対する広汎子宮摘出術および後腹膜リンパ節廓清術後に、ハイリスク症例に対しては補助療法として放射線療法が行われている。

 北大婦人科では2000年以降、主に化学療法を施行しており、2004年以降はタキサン/プラチナ製剤を用いている。

 今回、子宮頸癌に対する広汎子宮摘出術後の補助療法として、放射線療法とタキサン/プラチナ製剤を用いた化学療法を施行した症例について、生存率および合併症発生率をレトロスペクティブに解析した。

 対象は、1988年1月から2007年9月まで同科を受診したIb1期からIIb期までの子宮頸癌患者のうち、術後補助療法として放射線治療またはタキサン/プラチナ製剤を用いた化学療法を施行した81例。年齢は48歳(20-71歳)で、Ib1期18例、Ib2期20例、IIa期3例、IIb期40例だった。

 補助療法の適応は、摘出腟断端陽性、脈管侵襲、2/3以上の頸部間質浸潤、子宮傍組織浸潤、リンパ節転移陽性。放射線治療は全骨盤照射を50Gy、化学療法はパクリタキセル135mg/m2シスプラチン50mg/m2を4週毎で3〜6コース、ほとんどの症例で4コース以上投与されていた。

 患者背景は、放射線治療群(49例)、化学療法群(32例)の間で、ステージについて有意な差はなく、組織型は扁平上皮癌が放射線治療群47例に対して化学療法群24例、腺癌/腺扁平上皮癌は放射線療法群2例に対して化学療法群8例と違いが見られたが、その他の組織型に差は見られなかった。

 3年治療成績は、放射線治療群49例のうち再発が見られたのは16例、骨盤内再発が7例、骨盤外再発が9例、原病死が11例に対して、化学療法群32例で再発が見られたのは7例、骨盤内3例、骨盤外(骨盤内との重複含む)は5例、原病死1例だった。

 3年無病生存率は、放射線治療群67.3%に対して化学療法群78.1%だが、2群間の差は有意ではなかった(p=0.23)。一方、3年全生存率は放射線治療群69.4%に対して化学療法群93.8%で、化学療法群が有意に高かった(p=0.02)。

 術後合併症については、下肢リンパ浮腫はグレード2以上の浮腫を認めた症例、腸管通過障害は食事開始時に絶食補液などの保存療法または手術療法を要した症例、排尿障害は術後1年以降に間欠自己導尿を要した症例または尿失禁を認めた症例と定義した。

 解析の結果、放射線治療群では下肢リンパ浮腫が11例(22.4%)、腸管通過障害12例(24.5%、2例に腸管切除)、排尿障害が17例(34.7%)だったのに対し、化学療法群では下肢リンパ浮腫4例(11.4%)、腸管通過障害1例(3.1%)、排尿障害5例(15.6%)で、腸管通過障害は有意に化学療法群が少なく(p=0.01)、排尿障害も化学療法群で少ない傾向(p=0.07)が見られた。

 これらの結果から、子宮頸癌の術後補助療法としてタキサン/プラチナ併用療法は放射線治療に比べて高い生存率改善効果が期待できるとまとめ、化学療法後に放射線治療を実施することもできることから、補助療法として化学療法は有効であるとした。そして、今後、RCTの実施や補助化学療法レジメンの確立が必要と締めくくった。