前立腺癌患者に対する永久挿入密封小線源治療(ブラキセラピー、以下BT)の長期追跡結果から、治療9年後の生存率は91.8%であることが、単施設で5年以上経過観察できた990例の検討から示された。東京医療センター泌尿器科の矢木康人氏らが、10月24日から26日までに京都市で開催された第51回日本癌治療学会学術集会で報告した。

 同院では、前立腺癌へのBTを2003年から開始し、これまでに2100例以上の経験がある。当初、同治療法は低リスク患者への治療と考えられていたが、最近では中間・高リスク患者への有効性も報告されている。

 そこで、矢木氏らは同院でBTを実施した前立腺癌患者について、長期治療成績と再発予測因子を検討した。

 対象は、同院で2003年9月から2008年4月までにBTを施行し、5年以上の経過観察が可能だった990例。全生存(OS)率、疾患特異的生存率、臨床的非再発率、PSA非再発率を算出した。PSA再発は、Phoenix定義(nadir+2ng/mL)を用い、明らかな一過性のPSA値上昇患者(バウンス症例)は除外した。

 NCCNガイドラインのリスク分類で、低リスク患者もしくは中間リスクの一部の患者(PSAが10ng/mL以下かつステージT2c以下かつGleasonスコア6以下もしくはGlissonスコア7であっても陽性コア率が34%未満)に対してはBTを単独で実施した(2003年9月から2006年11月までは処方線量144Gy、2006年11月以降は160Gy)。そのほかの中間リスク患者もしくは高リスク患者(PSAが10ng/mL超かつ/またはステージT3a以上かつ/またはGleasonスコア7であっても陽性コア率が34%以上、またはGleasonスコア8以上)にはBT(処方線量100-110Gy)に外照射(45Gy、1.8Gyx25)を併用した。

 患者背景は、年齢中央値が67歳、治療前PSA値は6.7ng/mL(範囲1.1-43.3)、生検コア陽性率中央値は26.4%。Gleasonスコア6以下は46.4%(459例)、7は48.8%(483例)、8以上は4.8%(48例)、NCCNによるリスク分類で低リスクは33.5%(332例)、中間リスクは56.7%(561例)、高リスクは9.8%(97例)だった。外照射併用例は49.2%、治療待機期間に術前内分泌治療を実施した患者は78.4%。観察期間中央値は6.6年だった。なお術前内分泌治療は術後に中止している。

 その結果、5年OS率は96.6%、9年OS率は91.8%だった。また、疾患特異的5年OS率は99.8%、疾患特異的9年OS率は99.4%だった。

 臨床的非再発率は治療後5年時点が96.2%、9年時点で92.4%、PSA非再発率はそれぞれ95.0%、90.6%だった。

 リスク別の5年PSA非再発率は、低リスクが98.5%、中間リスクが94.3%、高リスクが86.5%、9年時点はそれぞれ97.7%、88.7%、76.7%だった。矢木氏は「中間リスク群についてもコントロール良好で、高リスク群についても他の治療法よりも良好な成績だった」と補足した。

 多変量解析でPSA再発の有意なリスク因子を検討したところ、治療前PSA(p=0.011)、Gleasonスコア(p<0.001)、臨床病期(p=0.001)、生検コア陽性率(p=0.028)の4つが抽出された。

 治療前PSA値別の治療後9年時点のPSA非再発率は、10ng/mL未満群が93.4%、10-20ng/mL群が87.7%、20ng/mL超群が77.7%(p<0.001)。また、Gleasonスコア別の治療後9年時点のPSA非再発率は6未満群が94.1%、7が89.7%、8以上が78.5%(p<0.001)、臨床病期別ではT1c群が95.3%、T2群が82.2%、T3群が83.3%(p<0.001)、生検コア陽性率が34%未満群は94.4%、34-50%群が86.9%、51-75%群が89.2%、75%超群が71.8%だった(p<0.001)。

 これらの結果から矢木氏は、「前立腺癌へのBTの長期治療成績は非常に良好で、限局性前立腺癌の標準治療として推奨すべき治療であると考えられた。BTは低リスクのみならず、中間リスクや高リスクにも選択されるべき治療法と考えられる」と語った。