限局性前立腺癌におけるD’Amicoリスク分類で中間リスクと判断された症例のうち、生検時PSAが15ng/mL以上では高リスクと同等の再発リスクがあることが後向き研究で示された。10月24日から26日まで京都で開催された第51回日本癌治療学会学術集会で、秋田大学腎泌尿器科学講座の成田伸太郎氏が発表した。

 D’Amico リスク分類は限局性前立腺癌における治療後再発リスクの予測や治療方針決定に広く用いられる。特に中間リスク判定については幅が広く、成田氏らは、サブクラス内で危険因子は異なるかもしれないと考え、その他の再発予測因子と比較検討する後向き研究を実施した。

 東北4施設(東北大・弘前大・秋田大・宮城県立がんセンター)の前立腺全摘患者データベースに基づき、2001年から2009 年の間に術前内分泌療法を施行しない前立腺全摘患者1268例を対象として、D’Amico中間リスク症例のPSA再発に関与するリスク因子を調査した。

 前立腺癌特異的抗原(PSA)>0.2ng/mL をPSA再発と定義し、術前リスク因子と病理学的リスク因子を検討した。術前リスク因子は年齢、術前PSA、PSAD、生検Gleason分類、%陽性コア、生検本数、臨床病期、治療年度を、術後の病理学的リスク因子はGleasonスコア、病理病期、断端陽性、被膜浸潤、精嚢浸潤、リンパ節転移を検討した。

 D’Amico リスク分類によるリスク分類別症例数は、低リスク群222 例(17.5%)、中間リスク群664 例(52.4%)、高リスク群382 例(30.1%)だった。

 術前リスク因子に関する患者背景では、低リスク/中間リスク/高リスク群の年齢中央値はそれぞれ64.7歳、65.9歳、66.9歳。PSA中央値はそれぞれ6.4ng/mL 、8.3ng/mL 、14.6ng/mL 、Gleasonスコア6以下が97.3/17.6/19.4%、7(3+4)が2.7/59.3/15.7%、4+3を超える症例が0/23/64.9%。病期は全体としてT1c(53.7%)、T2(39.7%)だった。

 病理学的リスク因子に関する患者背景では、低リスク/中間リスク/高リスク症例のGleasonスコアは、2-6がそれぞれ34.2/9.9/11.8%、7(3+4)がそれぞれ39.6/43.5/18.3%、4+3を超える症例がそれぞれ26.1/46.5/69.9%だった。病理学的病期ではほぼ全例がT2(68.5%)、T3(30%)だった。そのほか断片陽性はそれぞれ19.8/25.6/30.6%、被膜浸潤陽性は15.8/27.6/43.5%、精嚢浸潤は1.4/4.8/14.9%、リンパ節転移は0.35/1.1/6.0%に認められた。

 解析の結果、中間リスク群では平均観察期間41カ月で96 例(14.5%) にPSA再発が認められた。中間リスクは高リスクより有意に再発率が低く(p=0.001)、一方、低リスクと中間リスクでは非再発生存率に有意差を認めなかった。

 単変量解析によるPSA再発に関連するリスク因子の検討では、術前因子としてはPSA値≧15ng/mL、PSAD(PSA密度)≧0.7、治療時期が見いだされた。術後病理学的リスク因子は、Gleasonスコア、断端陽性、被膜浸潤、精嚢浸潤、リンパ節転移だった。

 この結果をもとに、生検時PSA値15ng/mLとPSAD 0.7ng/mL/gを閾値として各リスク群の非再発生存率を検討した結果、中間リスク群でPSA値15ng/mL以上およびPSADが0.7ng/mL/g以上だったグループは中間リスク群の他の患者と比べて有意に非再発生存期間が短く、高リスク群と有意差がないという結果だった。

 なお、中間リスク群のうち、2004年までに手術を受けた症例は低リスク群と比べて非再発生存期間が有意に短かったが、2005年移行に手術を受けた症例は低リスク群と差は認められなかった。

 次に、PSA再発と各リスク因子との関連性を多変量解析により検討した結果、術前因子ではPSAD≧0.7ng/mL/gが見いだされた。術前・術後因子とPSA再発について検討した結果、PSADとともに治療時期、断片陽性、リンパ節転移が独立したリスク因子として見いだされた。

 現在、限局性前立腺癌リスク分類では生検時PSA値20ng/mL 以上を高リスクとしているが、本検討では15ng/mL以上も高リスクと同等の非再発生存期間であると考えられると成田氏らは指摘した。

 そして、「D’Amico リスク分類の中間リスクにおいても近年、低リスクと同程度の非再発生存率となりつつある。しかし、中間リスクは患者数が多い層であり、中には再発高リスクの症例が含まれているため、リスク分類の再分類や他のリスク分類の妥当性を検討する必要がある」と成田氏は結んだ。