再発子宮内膜癌に対し、PI3K/mTOR阻害剤PF-05212384 (以下、PF-384)の投与は安全に施行できることが、国際フェーズ2試験のための「リードインコホート」試験の結果から報告された。この結果をもって、日本人患者を含めたフェーズ2試験が進行中だ。10月24日から26日まで京都で開催された第51回日本癌治療学会学術集会で、愛知県がんセンターの室圭氏が発表した。

 PF-04691502(PF-502)経口薬 およびPF-384点滴薬は、それぞれ異なった化学構造をもつ強力なPI3K/mTOR阻害剤。海外ではすでにフェーズ1試験で両剤の安全性と最大耐用量(MTD)が確認されており、再発子宮内膜癌を対象にPF-502およびPF-384の非盲検ランダム化フェーズ2試験(B1271004)を計画していた。

 フェーズ2試験では、腫瘍組織をスタスミン免疫染色でPI3K定常状態または活性化状態を判別した後、それぞれの薬剤に無作為に割り付け、両薬剤の有効性およびクリニカルベネフィットを評価する。その試験に日本も参入するため、本来のフェーズ1試験に代わって、わずかな症例数で安全性を確認する特殊なリードインコホート試験が今回PMDAに承認されて実施に至った。

 リードインコホート試験は、A群(PF-502経口薬を4mg/日)3例、B群(PF-384を89mg/週)3例を登録して開始した。A、B群のMTDはPF-502 経口薬で8mg/日、PF-384点滴薬で154mg/週と決定しており、それより1段階低い投与量とした。

 ところが、国際フェーズ2試験ではPF-502(8mg)は安全性の問題に起因して開発中止となったため、薬剤をPF-384(154mg)毎週投与のみに変更して試験を継続することとなった。そのため、日本のリードインコホート試験においても追加でC群としてPF-384の154mg毎週投与が組み込まれた。

 今回行われた3群でのリードインコホート試験では、日本人の患者におけるPF-384の推奨用量154mg毎週投与の確認と、日本人患者でのPF-384の154mg毎週投与の薬物動態を調査した。

 対象は、20歳以上のType I、Type IIの子宮内膜癌で、プラチナ製剤などの術後または再発時化学療法(分子標的薬や内分泌療法は除外)の前治療歴が2回以内、ECOG PSが0-1の患者とした。

 リードインコホート試験における許容できない有害事象の定義は、血液毒性ではグレード4以上の好中球減少や血小板減少、発熱性好中球減少、非血液毒性では、適切な対症療法を施行しても残るグレード3以上の嘔気・嘔吐、下痢、血糖値上昇やQTc延長500msec以上、間質性肺炎やグレード2以上の呼吸器症状などを含んだ。

 A群(PF-502を4mg/日)3例、B群(PF-384を89mg/週)3例、C群(PF-384を89mg/週)3例の患者背景は、平均年齢はそれぞれ64.3歳、56.7歳、62.7歳、PS 0/1が3/0例、1/2例、2/1例で、全例が前治療として外科手術および化学療法(ほとんどがTC療法)を施行しており、放射線療法を施行したのはA群の1例のみだった。治療期間中央値は、70日、330日、60日だった。

 A群PF-502経口薬(4mg)における毒性はやや強く、3分の1以上にみられた有害事象は発疹(3例)、高血糖(3例)、倦怠感(2例)で、重篤なものでは発疹(2例)のほか、疲労、リンパ球減少、好中球減少、咽頭炎がいずれも1例発症した。

 B群のPF-384点滴薬(89mg)では、グレード3以上の有害事象はみられなかった。グレード1、2では嘔気、口内炎が全例で認められたほか、腹部痛、食欲不振、嘔吐、発疹、皮膚乾燥、頭痛、口唇炎などが1例みられた。

 C群のPF-384(154mg)においては重篤有害事象として貧血(1例)、丘疹(1例)が認められたほか、グレード1、2の有害事象は口内炎(3例)、咽頭痛(3例)、食欲不振(2例)、掻痒(2例)、発疹(2例)、腹部痛、嘔吐、クレアチニン値上昇、便秘、発熱、高血糖などがそれぞれ1例みられたが、いずれも認容可能なものだった。C群において1例がグレード3の発疹によって減量を要したが、有害事象による治療中止例は認められなかった。

 PF-384の薬物動態解析から、日本人での89mgと154mgを欧米人の154mgと比較した。Cmax、AUCinf、AUClast、クリアランスなどにおいて、欧米人との違いは認められなかった。

 以上の結果から、室氏らは、国際共同フェーズ2試験参入のための日本人の再発子宮内膜癌対象リードインコホート試験で、PF-384(89mg、154mg)は安全に投与可能だったと結論づけた。

 PF-384(154mg/週)を評価する子宮内膜癌対象、国際フェーズ2試験(B1271004)が日本人も参加して現在行われている。