I-131内服療法は遠隔転移を有する分化型甲状腺癌患者の予後改善に貢献している可能性が示された。10月24日から京都市で開催されたがん・感染症センター都立駒込病院放射線科の唐澤克之氏が報告した。

 遠隔転移がある分化型甲状腺癌に対する治療の選択肢には、TSH抑制療法、I-131内服療法、外部照射、手術、化学療法などがあるが、I-131内服療法は臓器温存的で繰り返し行えるという利点を持つ。しかし日本国内のI-131内服療法実施施設は減少しており、現在は51施設となっている。その1つである駒込病院では、この治療が適用される患者が毎年増加している。

 同院での適応は、ハイリスク症例で外科的切除後に残存甲状腺組織のアブレーションが必要な患者と、遠隔転移を有する患者。最初に100mCiを投与し、集積の有無を調べて、転移巣にI-131の集積がなければTSH抑制療法に切り替える。集積が見られれば半年〜1年以内に2回目の治療を行い、その後も必要に応じてこの治療を繰り返す。

 唐澤氏らは、I-131内服療法の有効性を評価するために、1995〜2009年に同院で治療を受けた分化型甲状腺癌患者の中から、紹介時点で遠隔転移があった242例を選んでデータを分析した。

 年齢は14-83歳(中央値は62歳)、男性が89例、女性が153例、肺転移のみを有していた患者が132例、骨転移あり(それ以外の転移があった患者も含む)が81例で、組織型は濾胞癌が76例、乳頭癌が134例だった。

 I-131内服療法の適用回数は1-13回(中央値は2回)、1回投与量の中央値は100mCi(レンジ30-200mCi)、総投与量の中央値は200mCi(60-1300mCi)で、転移巣への集積が認められた患者は122例(50.4%)だった。観察期間の中央値は47カ月だった。

 全例では5年生存率は69.8%、10年生存率は54.0%で、生存期間の中央値は10.2年だった。

 生存利益に影響を及ぼす要因を探るため、性別、組織型、集積の有無で患者を層別化し、10年生存率を比較しても有意差は見られなかった。一方で、年齢や転移部位などで患者を層別化すると生存率に有意な差が見られた。10年生存率は、45歳以下が81.4%、46歳以上は48.2%(p=0.0007)、肺転移のみ例では70.1%、骨転移があった例では39.5%(p=0.00013)など。さらに、サイログロブリン値が低い患者のほうが10年生存率は有意に良好だった。

 次に、肺転移のみの症例をI-131集積有りと無しに層別化し、10年生存率を推定したところ、79.9%と59.4%となり、集積有り群の方が高い傾向が見られた(p=0.055)。

 骨転移が認められた患者では、集積あり群の5年生存率は59%、生存期間の中央値は7.8年、集積無し症例では28%と3.2年で、差は有意だった(p=0.0007)。さらに、集積あり症例を骨転移のみ群とそれ以外の臓器にも転移があったグループに層別化したところ、5年生存率はそれぞれ76%と17%になった(p<0.0001)。また、骨転移あり患者では、遠隔転移の個数が4個以下の患者の5年生存率は71%、5個以上では38%(p=0.008)だった。やはりサイログロブリン低値患者のほうが5年生存率は有意に良好だった。

 組織型と集積率の関係を調べたところ、濾胞癌のほうが乳頭癌より有意に高かった(86%と30%、p<0.0001)。

 これらの結果から、I-131内服療法は、遠隔転移がある分化型甲状腺患者の予後の改善に貢献している可能性が示唆されると締めくくった。