オキサリプラチンによる術後補助化学療法を受けた患者に副作用の程度を尋ねたところ、およそ8割が「中等度」と回答した。一方、医療者の4割が「強い」と回答し、患者と医療者が感じている副作用の程度に相違が見られたことが報告された。患者の受容は良好で、相対再発リスク低下効果を考慮すると、有力な治療選択肢であると考えられた。患者と医療者を対象に実施した大腸癌補助化学療法アンケート調査の結果について、愛知県がんセンター中央病院薬物療法部の谷口浩也氏らが、10月24日から京都市で開催されている第51回日本癌治療学会学術集会で発表した。

 これまでの臨床試験から、オキサリプラチン併用療法による術後補助化学療法は、5-FUをベースとした術後補助化学療法に比べて再発の相対リスクを20%程度減少させることが報告されている。一方で、感覚性末梢神経障害が発現することが課題となっている。

 一般に、有害事象はCTCAEを用いて医師が評価しており、実際に患者がどのように感じているかを報告した研究は少ない。

 今回谷口氏らは、術後補助化学療法を受けた大腸癌患者が副作用についてどのように感じていたのかを、治療レジメン別に調べることで、オキサリプラチンのリスクベネフィットバランスを検討した。

 対象は、同院で術後補助化学療法を受けた無再発の大腸癌患者と、化学療法に携わる医師、看護師。患者には郵送法による匿名自記式アンケートを実施し、医療者には匿名自記式アンケートを行った。なお、術後補助化学療法施行中の患者は除外した。

 患者への質問項目は、(1)現在の健康関連QOL、(2)現在の感覚性末梢神経障害、(3)治療中の術後補助化学療法の副作用の程度(「ひどかった」「予想どおり」「軽かった」の3段階)、(4)副作用の総合評価(「強い」「中等度」「軽い」の3段階)――の4項目。医療者に対しては、(4)副作用の総合評価(「強い」「中等度」「軽い」の3段階)のみ尋ねた。健康関連QOLはEQ5D日本語版、感覚性末梢神経障害はNCI-CTCAE、FACT-GOG NTX-12を用いた。FACT-GOG NTX-12では4点以上の差を臨床的に意味のある差として扱った。

 アンケート調査は158人の患者に郵送され、147人から回答を得た(回収率88%)。医療者については4施設から医師54人、看護師82人の回答を得た。

 患者の年齢中央値は64歳(範囲:24-78)、男性75例女性72例、ステージII/IIIa/ IIIb/ IIIc/IVがそれぞれ6/21/94/14/12例、原発部位が結腸の患者が91例、直腸が56例。術後からの経過期間中央値は2.8年。ランダム化比較試験に登録された患者は75例を占めた。

 術後補助化学療法の内訳は、オキサリプラチン併用療法(以下、オキサリプラチン群)が27例(mFOLFOX6が10例、CapeOXが17例)、UFT/LVが26例、カペシタビンが40例、S-1が32例、UFTが12例、5-FU/LVが10例。

 まずレジメン別の健康関連QOLをみると、オキサリプラチン群はそのほかのレジメンと比べてEQ5D平均値が0.873とやや低値だったが、どのレジメンも良好だった(UFT/LV群が0.963、カペシタビン群が0.957、S-1群が0.934、UFTが0.895、5-FU/LV群が0.961)。

 感覚性末梢神経障害をCTCAEで評価した結果、グレード1以上と回答した患者の割合は、オキサリプラチン以外のレジメンで治療した患者(オキサリプラチン非併用群)が15%だったのに対し、オキサリプラチン群が67%と不良だった。

 またオキサリプラチン群のNTX-12平均値は、オキサリプラチン非併用群と比べて高かった(7.9対1.9)。だが、術後からの経過期間で分けると、術後2年未満のオキサリプラチン群は11.5、オキサリプラチン非併用群が2.2だったが、2年以降ではその差は小さくなった(4.1対1.8)。

 治療中の副作用のうち、食欲不振、嘔気・嘔吐、下痢について「ひどかった」もしくは「予想どおり」と回答した患者の割合は、S-1群とオキサリプラチン群が同程度に多く、カペシタビン群、UFT/LV群は相対的に少なかった。

 オキサリプラチン群の88%が、手足のしびれが「ひどかった」もしくは「予想どおり」と回答した。手足症候群はカペシタビン群で多く56%だった。

 オキサリプラチンによる治療副作用の程度を尋ねたところ、患者のおよそ8割が「中等度」と回答したのに対し、医療者の4割が「強い」と回答した。

 副作用が中等度以上だったと回答した患者の割合は、オキサリプラチン群が89%、S-1群が81%、カペシタビン群が51%、UFT/LV群が29%だった。

 これらの結果から谷口氏は、「患者による治療の副作用評価はオキサリプラチン=S-1、カペシタビン、UFT/LVの順で、医療者の評価と異なった。オキサリプラチンによる術後補助化学療法は、長期の末梢神経障害が問題になるものの患者の受け入れは良好だった。約20%の再発リスク低下が期待できることを考慮すれば、有力な治療選択肢であると考えられた」と結論付けた。

 術後補助化学療法のレジメン選択については、「現在は、副作用の程度を医師がCTCAEをもとに評価しているが、今回の結果から患者が実際に感じていることと相違がある可能性が示された。患者に可能な限りのレジメンを提示し、再発リスクや副作用などをしっかりと説明した上で、患者に選んでもらうことが重要」と語った。