未治療転移性腎細胞癌患者を対象に、ファーストライン治療としてアキシチニブを投与して、基準を満たした患者に増量もしくは投与量を変更せずに治療するデザインで有効性と安全性を検討した国際共同フェーズ2試験の日本人サブグループを解析したところ、ファーストライン治療としてのアキシチニブは日本人にも有効で、日本人以外のグループに比べて無増悪生存期間(PFS)が良好であることが示された。10月24日から京都市で開催されている第51回日本癌治療学会学術集会で、千葉県がんセンター泌尿器科の植田健氏が報告した。

 アキシチニブは、同じ用量を投与しても患者間で血中濃度にばらつきが有ること、血中濃度が高いほど転帰良好であることが示されていたことから、事前に設定したランダム化基準を満たした患者をアキシチニブ10mg/日+増量群と10mg/日+プラセボ群にランダム化して有効性と安全性を検討する二重盲検無作為化フェーズ2試験が行われた。

 6カ国が参加した国際共同試験は、淡明細胞型の未治療転移性腎細胞癌患者を対象としており、10mg/日+増量群の奏効率は54%、10mg/日+プラセボ群の奏効率は34%と報告されている。

 試験全体では、最初に5mg1日2回(10mg/日)を4週間、1サイクル投与し、血圧値150/90mmHg以下、かつ降圧薬服用は2剤以下、かつグレード3以上の薬剤関連有害事象なし、かつ減量なしという4項目のランダム化基準を満たした112例を、20mg/日まで漸増する群(10mg/日+増量群)、または増量しないで偽薬を追加投与する群(10mg/日+プラセボ群)に、1対1で無作為に割り付けた。ランダム化基準を満たさなかった患者(91例)には5mgを1日2回投与する治療を継続した。


 今回は、この試験に参加した日本人44例について、有効性と安全性、薬物動態学的特徴を検討した結果を報告した。

 44例中11例がランダム化基準を満たし、6例が10mg/日+増量群、5例が10mg/日+プラセボ群に割り付けられた。ランダム化されず5mgを1日2回投与する治療を継続したのは32例だった。

 日本人サブグループと日本人以外のサブグループの間で患者背景を検討した結果、日本人の方が高齢で(日本人中央値66歳、日本人以外の中央値61歳)、体重が軽く(日本人61kg、日本人以外83kg)、身長も低かった(日本人162cm、日本人以外172cm)。また、ECOG PSが0だったのが日本人グループでは84%だったが、日本人以外では59%だった。リンパ節転移例、肝転移例、副腎転移例が日本人で少なかった。

 日本人グループは、日本人以外のグループと比べて、増量を行った群とランダム化しなかった群の治療期間、服薬期間が長かったが、1日平均投与量や相対用量強度は低かった。5mg1日2回から減量を要した患者は日本人グループで多かった。

 日本人グループにおける10mg/日+増量群はPRが67%、SDが33%、奏効率67%、10mg/日+プラセボ群はPRが40%、SDは60%、奏効率40%、増量基準を満たさず5mgの1日2回投与が継続された群ではPRが72%、SDが25%、奏効率72%だった。日本人以外のグループでは10mg/日+増量群の奏効率52%、0mg/日+プラセボ群の奏効率33%、増量基準を満たさず5mgの1日2回投与が継続された群では53%で、いずれの群においても日本人グループの方が良好だった。

 日本人グループの66%に相当する29人は腫瘍最大縮小率が30%以上だった。

 44例全体のPFSの中央値は、追跡期間の中央値が17.5カ月となった最終解析時点でも未達(95%信頼区間:16.6-推定不能)で、日本人以外のグループ(12.2カ月、同:10.1-16.4)より良好だった。日本人についてはさらに追跡を継続、約7カ月後に分析したところ、PFSの中央値は27.6カ月(95%信頼区間:16.6-33.2)になった。

 日本人における主な有害事象は、過去のアキシチニブの臨床試験と同様で、高血圧(全てのグレードの有害事象は91%/グレード3は66%)、下痢(75%/2%)、手足症候群(73%/14%)、発声障害(68%/0%)、甲状腺機能低下症(68%/0%)、たんぱく尿(61%/2%)などだった。これらの発生率は外国人に比べ高い傾向が見られた。アキシチニブの薬物動態は日本人以外のグループと同様だった。

 これらの結果から、アキシチニブは日本人の未治療転移性腎細胞癌患者のファーストライン治療として有効で、ORRは増量しなかったグループに比べ増量したグループで良好、増量したグループの奏効率はランダム化されなかったグループと同等だったとまとめた。また、PFSは日本人以外のグループより長く、ファーストライン治療としてのアキシチニブは日本人において効果と忍容性が高いと指摘した。