HER2陽性の転移性乳癌(MBC)患者に対する、抗体薬物複合体(ADC)であるトラスツズマブ・エムタンシン(T-DM1)とHER2二量体化阻害抗体のペルツズマブの併用投与のフェーズ1b試験で、忍容性と安全性が確認され、国際的フェーズ3試験への日本からの参加は妥当であると判断された。JO22992試験の結果で、愛知がんセンター中央病院乳腺科の岩田広治氏が、10月24日から京都で開催されている第51回日本癌治療学会で報告した。

 この試験の目的は、海外で進行中のフェーズ3試験MARIANNNEへの日本人患者の参加に先立って、2剤併用の安全性と忍容性を検討することにあった。

 JO22992試験はシングルアームの多施設フェーズ1b試験。進行性または再発性のHER2陽性乳癌患者で、ECOG PSスコアが0-2、トラスツズマブ使用中または投与完了後に進行を認めており、MBCに対する化学療法歴を有する、左室駆出率(LVEF)が50%以上の6人を登録した。

 T-DM1(3.6mg/kg)とフルドーズのペルツズマブ(初期投与量は840mg、サイクル2以降は維持投与量として420mg)を3週間に1回、進行が見られるまで、または許容できない毒性が現れるまで投与した。

 主要転帰評価指標は忍容性と薬物動態学的特徴とした。あらかじめ設定したMARIANNE試験への参加の条件は、1サイクル目で投与量制限毒性(DLT)が認められた患者が6人中3人未満、となっていた。

 6人の患者の年齢の中央値は57.5歳(範囲46-68歳)、治療期間の中央値は11サイクル(範囲1-32)、用量強度の中央値はT-DM1が86.2%、ペルツズマブは86.9%だった。

 DLTの評価対象は、プロトコール不遵守があった1人の患者を除く5人となった。うちDLTが認められたのは1人のみだった。この患者ではLVEFが低下し、1サイクル目の15日目に無症候性ながら26%になったが、45日目には60%に回復していた。

 2剤をそれぞれ単独で用いた場合と比較したが、有害事象の増加はなかった。グレード3の有害事象は、肝機能障害、左室駆出率の低下、好中球減少症で、いずれも1人ずつだった。

 2剤の薬物動態パラメータは、それぞれを単剤で用いた臨床試験で見られたと同様で、併用による悪影響は認められなかった。

 予備的に調べた最良総合効果は3人の患者で部分奏効(PR)となった。進行が見られた患者はいなかった。

 以上の結果は、海外で進行中のフェーズ3試験MARIANNNEへの日本人患者の参加を支持するものとなった。