初発肝細胞癌を対象とした、Cryoablation(凍結融解壊死療法)と焼灼療法のラジオ波焼灼療法(RFA)/マイクロ波凝固療法(MCT)の治療効果についての後ろ向き観察研究から、腫瘍径が2cmを超える症例の局所再発率はCryoablationを行った患者で有意に低く、合併症発生率や術後在院日数は同等であることが示された。10月25日から27日まで横浜市で開催された第50回日本癌治療学会学術集会で、慶應義塾大学一般・消化器外科(北川雄光教授)の永滋教氏が発表した。

 肝細胞癌に対し、MCTやRFAなどの局所治療が広く行われるようになってきたが、これらの焼灼療法は、肝内胆管の熱損傷や局所麻酔下での焼灼時の疼痛などの弱点があり、また焼灼可能な腫瘍の大きさは2-3cm程度までが一般的な限界とされている。

 これらの弱点を改善した治療にCryoablationがあり、その特徴として、熱損傷が少なくグリソン周囲の腫瘍も治療可能であること、局所麻酔下での治療時に疼痛が少ないこと、低侵襲下に大型の腫瘍が一期的に治療可能であること、焼灼範囲の良好な視野確保が可能であることなどがある。
 
 永氏らは、同院で施行したCryoablationとRFA/MCTの成績について比較検討した。対象は、1998年から2011年までに局所治療を施行した、5cm以下の初発肝細胞癌患者119人。主要評価項目は無局所再発期間、副次的評価項目は合併症発生率と術後在院日数だった。
 
 119人中、Cryoablationを施行した群は55人、RFA/MCTを施行した群は64人だった。Cryoablation群はRFA/MCT群と比べて有意にStage進行例が多く、腫瘍径が大きい症例が多かった(P<0.01)。
 
 結果として、累積局所再発率はCryoablation群がRFA/MCT群より良好な結果をもたらす傾向にあったものの統計的有意差はなかった。しかし局所再発率に関する各種因子について単変量解析と多変量解析を行ったところ、腫瘍径、Child-Pughスコア(5/≧6)、治療法(RFA/MCT vs Cryoablation)が有意な因子として抽出され、「腫瘍径が小さい」、「背景肝予備能がよい」、「Cryoablationによる治療を行った」ということが、局所再発を抑えるうえで良好な予後規定因子になっていると考えられた。
 
 腫瘍径が大きな症例がCryoablation群で多かったことから、永氏らは腫瘍径について両群の層別解析を行い、改めて局所再発率を比較した。その結果、累積局所再発率は、腫瘍径が2cm以下の場合、両群で有意差はなかったが、腫瘍径が2cmを超える場合、Cryoablation群はRFA/MCT群と比べて有意に局所再発率が低かった(p<0.01)。
 
 平均術後在院日数はCryoablation群とRFA/MCT群でともに9日前後、合併症発生率の平均は両群ともに約10%となり、いずれも有意差はなかった。
 
 永氏は「Cryoablationは肝細胞癌に対して有効で安全な局所療法であり、肝細胞癌における局所治療の適応範囲を広げうると考えられる」と話した。