進行腎細胞癌に対するチロシンキナーゼ阻害薬(TKI)の効果予測因子として、無増悪生存では治療前CRP値とMSKCCリスク分類、全生存ではSarcomatoid成分の有無、骨転移の有無、肝転移の有無、治療前CRP値、MSKCCリスク分類が独立した効果予測因子である可能性が示された。10月25日から横浜市で開催された第50回日本癌治療学会で、神戸大腎泌尿器科の熊野晶文氏が発表した。

 今回、熊野氏らは、進行腎細胞癌患者にTKIを投与した場合の効果予測因子について検討した。

 神戸大学医学部付属病院と兵庫県立がんセンターで、2008年4月から2012年3月までに進行腎細胞癌と診断され、分子標的薬のファーストライン治療としてTKI(スニチニブまたはソラフェニブ)を投与された149人(65歳以上が55%、男性が76.5%)を検討対象とした。ソラフェニブ投与群が94人、スニチニブ投与群が55人だった。

 患者背景で、ソラフェニブ投与群とスニチニブ投与群の間でほとんど差はなかったが、腎摘除術施行例についてはソラフェニブ群が96.8%だったのに対し、スニチニブ群は83.6%と有意に少なかった。サイトカイン療法歴についてソラフェニブ群が83.0%だったのに対し、スニチニブ群は32.7%と有意に少なかった。また、転移臓器について、肺転移のみの症例がソラフェニブ群42.6%だったのに対し、スニチニブ群7.3%と有意に少なく、骨転移有りはソラフェニブ群11.7%に対しスニチニブ群は36.4%と有意に多かった。病理学的要因には有意差はなく、ヘモグロビン値、CRP値などの生理学的検査データや、それらに基づくMSKCCリスク分類(favorable/intermediateとpoorに2分した)にも差は見られなかった。

 RECIST基準に基づく治療効果判定の結果においても、ソラフェニブ群とスニチニブ群の間に有意差は見られなかった。

 全症例149例の無増悪生存期間の中央値は13.8カ月、全生存期間の中央値は31.9カ月だった。スニチニブ群とソラフェニブ群の間でも比較を行ったが、スニチニブに比べソラフェニブのほうが生存利益は大きい傾向が見られたものの、差は有意にならなかった。

 多変量解析を行ったところ、臨床病理学的要因の中でPFSの独立した予測因子だったのは、治療前CRP値とMSKCCリスク分類だった。OSについては、Sarcomatoid成分の有無、骨転移の有無、肝転移の有無、治療前CRP値、MSKCC分類が独立した予測因子であることが示された。

 無増悪生存期間の危険因子と見なされた、CRPが1.0mg/dL超、MSKCCリスク分類がpoor、という2つの因子を危険因子とし、全症例を危険因子なし(95例)、危険因子を1つ保有(41例)、2つ保有(13例)に層別化し、PFSを比較したところ、リスク数が少なくなるに従ってPFSが良好な結果であることが示された。

 同様に、全生存期間の危険因子と見なされた、Sarcomatoid成分有り、骨転移有り、肝転移有り、CRPが1.0mg/dL超、MSKCCリスク分類がpoorの5つの因子を危険因子とし、全症例を危険因子なし(69例)、危険因子を1-2つ保有(66例)、3-5つ保有(14例)に層別化したところ、やはりリスク数が少なくなるに従ってOSが良好な結果だった。

 熊野氏は、これらの危険因子を利用して進行腎細胞癌症例を分類すれば、TKIの治療効果およびTKI導入後の予後予測に有用である可能性が示されたと語った。

 なお、この研究は、熊野晶文氏、古川順也氏、村蒔基次氏、三宅秀明氏、藤澤正人氏らにより行われた。