腹水を有する進行・再発胃癌における血清CA125値のモニタリングは、化学療法後の腹水の減少や、生存期間を予測する因子として有効である可能性が示された。富山大学内科学第3講座の安藤孝将氏が、10月27日まで横浜市で開催された第50回日本癌治療学会学術集会で発表した。

 卵巣癌においては、血清CA125値の早期低下はPFSの延長と関連することが報告されている。胃癌患者では、腹膜播種を有する患者でCA125値が高値であることが知られているが、進行・再発胃癌に対する化学療法においてCA125値をモニタリングする臨床的有用性は報告されていない。

 そこで安藤氏らは、腹水を有する進行・再発胃癌の1次治療例を、CA125値が早期に低下した群(以下、CA125低下群)と低下しなかった群(以下、CA125非低下群)に分け、それぞれの治療成績をレトロスペクティブに検討した。

 対象は、2006年4月から2011年12月に、CA125値が適切に測定された進行・再発胃癌患者のうち、腹水を有するCA125高値(35 IU/mL以上)の患者46人。化学療法前にCA125測定のほか、CT撮影により腹水量を算出する。化学療法開始4-7週間後にCA125値を測定し、化学療法開始2カ月後には再度CT撮影にて腹水量を算出する。腹水が認められない患者を「腹水なし」、骨盤腔内または肝表面にとどまっている患者を「腹水少量」、骨盤腔を超えて連続した状態を「腹水大量」の3段階で定義し、腹水量が1段階以上減少した場合に、腹水量が減少したと判定した。また、CA125値については、治療後に25%以上低下した患者を「CA125低下群」とした。1次治療レジメンは、S-1+ドセタキセルが最も多く33%、次いでS-1+シスプラチン+ドセタキセルは17%。

 腹水を有し、CA125高値だった46人の患者背景は、年齢中央値が63歳、男性割合が約7割、腹水少量が33人、腹水大量が13人。転移個数が2個以上の患者が8割を占め、CA125値(中央値)は158 IU/mLだった。

 CA125低下群のうち、腹水量が1段階以上減少した患者数は、22人中12人だったのに対し、CA125非低下群においては24人中1人にとどまった。

 CA125低下群のOS中央値は308日で、CA125非低下群の192日と比べ、有意に良好だった(p=0.0002)。また、PFS中央値は、CA125低下群が146日、CA125非低下群が67日で、有意差が認められた(p=0.0002)。

 さらに多変量解析を行ったところ、CA125非低下(低下率が25%未満)は、OSとPFSの有意な予後不良因子だった(ハザード比はそれぞれ2.19、2.78)。PFSの予後不良因子として、そのほかにPS2が抽出された(ハザード比は2.60)。

 これらの結果から安藤氏は、「治療前CA125値が高値かつ腹水を有する進行・再発胃癌患者において、化学療法後早期にCA125値が低下すると、腹水量の減少が認められたほか、OSやPFSが良好だった。CA125値のモニタリングは、化学療法後の腹水量の減少、および生存期間を予測する因子として臨床的有用性があると考えられる」とまとめた。

 また、実臨床への応用については、「腹水量の測定は2カ月に1度程度であるのに対し、CA125値は治療後すぐに簡便に測定できるのが特徴。CA125値から腹水量の増減を予想することで、イレウス、嘔吐、腹痛などが発現する可能性の高い患者を見つけ出し、外来に来てもらう頻度を高めるなどして注意を払うことができる」と語った。また、そのほかの腫瘍マーカーCEA、CA19-9については、腹水量との相関関係は認められなかったとした。