進行肝細胞癌に対するソラフェニブ投与の際、ステロイド軟膏の予防的投与により手足皮膚反応の発症を予防できる可能性が示された。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、京都大学肝胆膵・移植外科の波多野悦郎氏が発表したもので、この結果を受け、ソラフェニブ投与患者に対するステロイド軟膏予防的投与の手足皮膚反応発症予防効果やソラフェニブの投与状況を評価するフェーズ2試験を開始していることも明らかにした。

 切除不能な進行肝細胞癌に対する全身化学療法としてソラフェニブの有効性が確認され、国内外で使用されている。ただし、最近の臨床試験で、ソラフェニブの投与期間が短いことや早期投与中止例が多いことが、臨床試験におけるソラフェニブ投与例の予後改善につながらなかった可能性が示唆されている。また、早期投与中止の原因の1つとして有害事象が原因であることが考えられている。

 そこで波多野氏らは、ソラフェニブの早期中止理由を検討するとともに、早期中止につながる有害事象の検討と、その予防は可能かどうかを検討するため、自施設でソラフェニブ投与を受けた46例について解析を行った。

 2009年6月から2011年5月までに同大学附属病院でソラフェニブを投与した46例のうち、中止は35例、継続11例だった。

 投与中止理由を解析した結果、投与中止35例のうち、有害事象が見られたのは14例で、肝機能異常5例、出血2例、倦怠感2例、手足症候群2例、多形紅斑1例、間質性肺炎1例、胆管穿孔1例だった。このうち60日以内の早期中止例は8例で、肝機能異常2例、倦怠感2例、手足症候群2例、多形紅斑1例、胆管穿孔1例だった。

 これらの有害事象のうち、手足皮膚反応は予防可能な有害事象であると考え、同グループでは、これまで知られている手足皮膚反応の予防法以外の方法について検討を進めている。

 これまでに知られている手足皮膚反応の予防法は、軽石などによる角質処理後に保湿クリームを塗ったり、尿素やサリチル酸含有クリームを塗る角質処理、履きやすい靴や柔らかい中敷きで除圧、熱い風呂に入らない、長時間の起立、歩行を避ける刺激除去、保湿クリームを塗る、就寝時にクリームを塗り、綿の手袋や靴下を履く、疼痛時の1回10〜15分、1日3回の冷水浴などの保湿などであり、ある程度の予防が可能となっている。加えて、発症したら迷わずステロイド外用を開始することがポイントとなる。

 波多野氏らは、同大皮膚科のグループが、足裏への負荷を分散させる特別な靴を作成しており、この靴をソラフェニブ投与患者に履いてもらったところ、ソラフェニブの増量が可能となり、長期に内服が可能となった経験がある。

 さらに波多野氏らは、ソラフェニブ内服前に予防的にベタメタゾン軟膏を塗布する群7例と従来の予防処置を行う群3例について手足皮膚反応の発症数を予備的に検討した結果、従来の予防処理群は3例ともグレード2の手足皮膚反応を発症したのに対し、ステロイドの予防的処置群では発症例はなかった。

 そこで同グループは、ソラフェニブ投与に伴う手足皮膚症候群に対するステロイド前投与の有用性を検討する多施設共同フェーズ2試験(PRESSO試験)を開始した。

 対象はソラフェニブの投与が決定した肝細胞癌患者で、ベタメタゾン軟膏投与群と軟膏基剤投与群に割り付け、6週以内のグレード2以上の手足皮膚症候群の発症頻度を評価する試験だ。副次評価項目として安全性、ソラフェニブの投与状況、6カ月生存率を評価する。

 この試験は、京都大学皮膚科の松村由美氏が主任研究者、波多野氏が副主任研究者となって現在進めており、試験に興味がある医師の連絡を求めている。