新規経口ヌクレオシド製剤TAS-102は、標準的な化学療法が無効な切除不能進行大腸癌で、KRAS変異型の患者では生存期間を有意に延長させることが、フェーズ2試験(10040030)のKRAS遺伝子による層別解析で明らかになった。一方、KRAS野生型患者では有意な延長は示されなかった。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、熊本大学医学部附属病院の馬場秀夫氏らが発表した。

 TAS-102は、トリフルオロチミジンとその分解酵素であるチミジンホスホリラーゼの阻害剤が1対0.5の比率で配された製剤。トリフルオロチミジンはDNAに取り込まれ、DNAの機能を障害する。チミジンホスホリラーゼ阻害剤はトリフルオロチミジンの不活性化を防ぎ、癌の増殖を抑制すると考えられている。

 フェーズ2試験は、2レジメン以上の化学療法治療歴があり、フルオロピリミジンやイリノテカン、オキサリプラチンに不応の切除不能進行大腸癌患者を、TAS-102群とプラセボ群に2:1に割り付けた。172人が登録され、169人で治療効果が評価された。

 その結果、主要評価項目である全生存期間(OS)の中央値は、TAS-102群が9.0カ月、プラセボ群が6.6カ月、ハザード比は0.56、p値は0.0011(層別ログランク検定)で、TAS-102群で有意にOSは延長した。副次評価項目である無増悪生存期間(PFS)の中央値は、TAS-102群が2カ月、プラセボ群が1カ月、ハザード比は0.41、p<0.0001だった。

 今回の発表では、149人を対象に行ったKRAS遺伝子による層別解析の結果が報告された。KRAS遺伝子変異はScorpion ARMS法で測定され、変異型はTAS-102群で45.5%(99人中45人)、プラセボ群で52%(50人中26人)だった。

 OS中央値は、KRAS野生型では、TAS-102群が7.2カ月、プラセボ群が7.0カ月、ハザード比は0.70、95%信頼区間0.41-1.20、p値は0.191で有意差はなかった。変異型ではTAS-102群が13.0カ月、プラセボ群が6.9カ月、ハザード比は0.44、95%信頼区間0.25-0.80、p値は0.0056だった。

 PFS中央値は、KRAS野生型では、TAS-102群で1.9カ月、プラセボ群が1カ月、ハザード比は0.40、95%信頼区間0.23-0.69、p値は0.0004と有意差が示された。変異型ではTAS-102群が2.8カ月、プラセボ群が1.0カ月、ハザード比は0.34、95%信頼区間0.19-0.61、p<0.0001だった。

 この結果から馬場氏は、「OSにおいてKRAS野生型に比べ、変異型をより改善する傾向が認められた」とした。ただし「症例数が少なく、KRAS statusとTAS-102の治療効果の相関を示すことは難しいため、第3相試験での検討が必要である」と述べた。