転移性膵癌患者において、ヒトIGF-1R(インスリン様成長因子-1型受容体)に対する完全ヒト型モノクローナル抗体ganitumab(AMG 479)20mgとゲムシタビンの併用療法は安全に施行できることが、国内多施設共同フェーズ1b試験で確認された。10月27日から名古屋市で開催された第49回日本癌治療学会学術集会で、静岡がんセンター消化器内科の福冨晃氏らが発表した。

 IGF-1RにIGF-1とIGF-2が結合すると、腫瘍細胞の生存や増殖に関するシグナルが発信されるが、ganitumab(AMG 479)はIGF-1Rを阻害することで、シグナルを抑えると考えられている。

 膵癌に対するganitumabについては、グローバルのフェーズ3試験として、ゲムシタビンとganitumab 12mg、ganitumab 20mg、もしくはプラセボの3群比較の試験が計画されていたが、日本人においてゲムシタビンとganitumab 20mgを併用した場合の安全性が確認されていなかった。そこでフェーズ1b試験として、ゲムシタビンとganitumab 20mgの併用療法の安全性が検討された。

 試験は、未治療転移性膵癌患者6人を対象に、28日を1サイクルとして、ゲムシタビン1000mg/m 2を第1日、8日、15日に、ganitumabは20mg/kgを第1日、15日に投与した。主要評価項目はゲムシタビンとganitumab併用療法における安全性と忍容性、副次評価項目はゲムシタビンとganitumabの薬物動態、抗腫瘍効果とした。

 治療サイクルの平均はganitumabもゲムシタビンも3サイクル、相対的用量強度の平均はganitumabが91%、ゲムシタビンが90%だった。

 この結果、1人で用量制限毒性(38.5度以上の発熱を伴うグレード3の好中球減少)が認められた。抗ganitumab抗体は検出されなかった。グレード3以上の有害事象は、好中球減少が4人、血小板減少が2人、白血球減少とリンパ球減少が各1人。グレード3の悪心、食欲不振が各1人だった。

 ganitumabの血中濃度はゲムシタビンとの併用でもganitumab単独投与と同等であり、薬物動態において併用療法による影響は見られなかった。

 抗腫瘍効果は、評価できた5人のうち、病勢安定が4人、病勢進行が1人。病勢安定の期間中央値は82日(56-113日)、病勢進行までの期間中央値は58日(37-113日)だった。

 この試験の結果を受けて、転移性膵癌患者を対象にグローバルのフェーズ3試験が開始されている。